文春オンライン

《24年目の“離婚”はあるか?》自公対立の“発火点”となった「28区問題」をキーマンに聞いた

2023/07/20
note

 森山 28区は、昨年の12月16日、すでに自民党で、この人を、という候補予定者が都連から上がってきていたんです。ただ、公明党と協議していて、向こうから擁立の希望が出ていました。それをこちらの支部長選考会議にかけて、お互いに不愉快な思いをしてもいけないから、決めないでいたというのが真実の話です。28区と29区は、決めないでおこうと言って、そのまま保留にしてきたという経緯があります。

――公明党は早い段階から候補擁立を言っていたのですか。

 森山 28区と29区に立てたいと言いました。そんなに早い段階ではないけど、公明党は最初から要望していました。

ADVERTISEMENT

――絶対に譲れないと強硬な姿勢を取り続ける公明党の出方は、自民党にとって予想外だったのですか。

 森山 「10増10減」の中で、3選挙区といわれると、こちらとしては非常にきつい。全国の「10減」に該当する選挙区は全部、自民党の現職議員がいて、かぶるんです。その上、「10増」のところを3つ、と言われると、きついですね。

佐藤副会長は聡明な方

――結局、自民党と公明党は、報じられているように、東京では「選挙協力なし」となりますか。

 森山 今のところはそうですね。われわれとしては、協力できるように29区についても公明党をしっかり支援できる形にするため、条件整備を進めているところです。

――公明党の主張は、28区での擁立を認めなければ、東京で自民党が立てる全選挙区で支援しないということだったのですか。

 森山 いや、28区はもう擁立しないと言っています。「そう言わないで、28区も含めて考えていきましょう」と申し上げているのですが。自民党は28区の候補者を下ろさざるをえないんでしょうけれども、そこは今からの交渉だと思います。

岸田首相と握手する山口代表 ©時事通信社

 公明党は現段階では表面上、東京の小選挙区で自民党を応援しない感じです。だけど、長いつきあいがあります。各現場で何とかうまく行かないものかなと思っています。

――もし公明党の応援が一切ないという事態になったりすると、次の衆院選での自民党の議席にどんな影響が出ると見ていますか。

 森山 そんな怖いことは、考えたことも、計算したこともありません。そうならないようにしなければ。

――自公連立は長く続いていますが、両党では実際には選挙のとき、選挙区の決定や候補者擁立の調整でもめごとが繰り返されてきたのか、ここへきて急に対立が目立つようになったのか、どちらですか。

 森山 今までは仲良くやってきた歴史だと思います。「10増のうち、3議席を譲れるかどうか」が起点だと思います。向こうも政党として1つでも議席を増やしたいのだから。

 連立は、政策を協議し、手続きとしては衆院選の前に選挙公約で合意して、選挙が終わって政権が取れたら、その公約をしっかり実施に移していく。そういうことで連立を組むわけです。連立は国民の皆様と約束した政策を実現していくことです。

 そのために与党の議員を1人でも増やすのが一番の目的です。そうすると、選挙協力がスムーズに行かないと、意味がない。選挙区の割り振りは決まったが、協力はうまく行かないというのは問題です。それでいろいろと協議を続けてきたのです。

――公明党や支持母体の創価学会の側で、ここ数年、内部構造や組織の体質などに大きな変化が生じているという感じはありますか。

 森山 私は公明党の選対委員長としか協議しないので、支持団体のことはよく分かりません。政党間協議はそれが正しいやり方だと思います。

――創価学会では佐藤浩副会長が大きなパワーを持っているといわれています。どんな人物ですか。

 森山 私はそんなにお目にかかったことはありませんが、1~2回、お会いしています。非常に聡明な方だと思います。

森山裕氏へのインタビュー「自公連立解消? そんな怖いこと」の全文は、「文藝春秋」2023年8月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

《24年目の“離婚”はあるか?》自公対立の“発火点”となった「28区問題」をキーマンに聞いた

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文藝春秋をフォロー