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「野球をやりたくない日も…」852日ぶりの1軍マウンドで涙を流したヤクルト・山野太一の苦しみと喜び

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/08/31
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プロ初勝利&プロ初安打、「持ってる男」の危ういお立ち台

 最小得点差での勝利、しかも打席では菅野投手に簡単に追い込まれながらも、ファウルで2球粘り、その後の緩いカーブを、野手も顔負けの柔らかいバットコントロールでセンター前に落とすという、プロ入り初安打のおまけつき。プロ入り初勝利&初安打の2つの記念球を同時に手にする“持ってる”男となりました。

 しかし、その後のヒーローインタビュー、広報視点からすると違う意味でドキドキさせられました。

 画面にひとり映し出された山野、マウンド上とは違ってすでに落ち着きがありません。

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 百戦錬磨の日テレのアナウンサーさんに「山野さんの今日の良かったところは?」と聞かれると、

「投球に関しては、とくにないんですけど……」

 レフトスタンドのスワローズファンが「ええっ~!!」と声をあげるほど。

「なにか良かったところを教えてください」と撮れ高に不安を覚えたアナウンサーさんが食い下がると、

「え、え……。ぜ、全部良かったです!」

 溜めに溜めた挙げ句、テーブルの上のものをすべてひっくり返すようなコメント。ベンチに残り、スマホでその様子を撮っていた同期で同じ大学出身の元山飛優、同期の並木秀尊も爆笑しています。

 発言するたびにマイクに顔を近づけるので「おい、そんなに顔をくっつけなくても、声を拾うよ!」と思わずテレビに向かってツッコミを入れてしまいました。

「野球をやりたくない日々も」と絶句する姿に……

 しかし、その直後、ケガで投げられなかった時期に話を向けられると、「野球をやりたくないって日々も……」と、絶句。そして目には涙。

 僕は即座に反省しました。野球が大好きで、プロ野球選手にまでなった人に「野球をやりたくない」と言わせるほどの苦しみは察するに余りあります。

 僕はその日のうちに、弊社グッズ担当“かさいー”に連絡を取り、メモリアルグッズ製作を確認し、その場で注文を入れました。「山野太一プロ初勝利記念Tシャツを買う最初の人になる!」と。

 その後はかさいーを急かして、サンプル版を購入。後日それを持って「初勝利記念おめでとう動画」を撮ろうと、手ぐすねをひいて待っていたら、なかなかタイミングが合わず……。

 でも安心してください。最近ようやく山野を捕まえ、収録しましたよ!

「プロ入り初」選手のメモリアルをしっかりと残してあげたい

 僕が撮影している動画は今まで「誕生日プレゼント」や「趣味の話」などエンターテイメント寄りのものが多かったけど、やはり選手にとってのメモリアルとなる記録の動画や映像はしっかり残してあげたいのです。

 山野にとっては通過点の1勝ですが、お世話になった人、応援してくれている人には、恩返しの大きな勝利です。なるべくフレッシュなうちにみなさんにお見せしたい、そう強く思うのです。

 山野が2度目、3度目のお立ち台に笑顔で上がったとき、それはチームの浮上を意味します。それまで山野には僕が出演する『つば九郎テレビショッピング』を何度も見せて、投球同様「テンポ、間、掛け合い」というトークの基本を学んでもらうことにします。

 ちなみにこの動画は9月8日(金)に公式アプリにて配信されます。そして、すっかり忘れてましたが、僕の背番号「60」を継ぐ男、武岡龍世のプロ初ホームラン動画は先行して、9月1日(金)にアップいたします。サイ・ヤング賞投手、バウアー投手からプロ初ホームランを放ったかわいい後輩の喜びの声も合わせてお楽しみください!

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