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文春野球コラム

元応援団員がツバメ愛あふれる「スワローズ酒場」をハシゴして考えた“応燕のカタチ”

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/08/09

 本日の文春野球の対戦相手は「中田廉」さんと伺っておりますが、ホークス・ライオンズ・タイガースで活躍された佐々木誠さんを期待して来られた方すみません。選手同士の対戦ではなく、元スワローズ私設応援団員の方の佐々木誠です。

元応援団員が綴る「劇的に変わった観戦スタイル」

 たまには応援の話じゃなくて、気楽な感じで書いてみてはどうですか? と文春野球の監督に言われ、じゃあ何を書こうかなと考えた結果、応援団を引退してから劇的に変わった観戦スタイルを書こうと思いまして。

 何が変わったって、お酒飲むようになったんですよ。球場で。

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 現役のころは球場内の飲酒はできませんでしたので……いや、大昔、とくに決まりもなかった時代は、試合後のスタンドで、ファンの皆さんに向かって「本当はみんなと乾杯したいけど、お先にいただきます! 乾杯!」って紙コップでビールを飲むパフォーマンスやっていました(でもあれ、実は中身は水だったんですよ。ゴメンナサイ)。

 しかし、近年は飲酒できなかった。その反動か、最近は試合後に球場外のお店やビジターゲームの日にスワローズ推しの「スワローズ酒場」で過ごすことも多くなりました。

関東には20軒以上のスワローズ酒場があるらしい

 関東には20軒以上のスワローズ酒場があるらしいんですが、できるだけ回ってみようと思い立ち、デーゲームのある酷暑の日、試合中に何軒回れるかというあえての縛りを設け、チャレンジしてみました!

 さて、1軒目。照りつける日差しの中、頭の中はビールでいっぱい。訪れたのは西武新宿線野方駅。そこから歩いて5分ほどで到着したのは「スワハウス」さん。

最初は野方の老舗に ©佐々木誠

今年で20年目の最古参。コーチやつば九郎もお忍びで訪れた店

 ここは西武新宿線唯一といっていいスワローズ酒場。今年で20年目、スワローズ応援酒場の先駆けと言っていいかもしれない。始めた当初はSNSも無い時代でしたが、西武線沿線にスワローズファンのお店が! ということで面白がってファンだけでなくコーチやつば九郎までが来ていたそう。

白昼のビール&応援を堪能する筆者 ©佐々木誠
伊藤智仁、青木宣親、真中満、つば九郎……所狭しと並ぶ色紙の数々
店主の宮澤健一郎さん

 店主の宮澤健一郎さんはここ野方の生まれ。おじい様が長野県諏訪出身で、野方で経営されていたアパートに「諏訪荘」という名を付け、そこで育った思い出から「スワ」ハウスを開店したという。なぜ西武ライオンズのエリアでスワローズのお店? という謎は数分で解けてしまいました。

あのレジェンドの選手実使用バットが触れる、握れる

 店内にはスワローズのレジェンド、池山隆寛(現2軍監督)、OBのラミレスさん、青木宣親選手のバットが飾ってあるのですが、なんと直に握っていい!

左から青木、ラミレス、池山のバット。グリップエンドの刻印も必見!

 ほかにも選手から提供された実使用のユニホーム、当時の新聞、カードなどが所狭しと並んでおり、さながら博物館のよう。

勝てばお客様とともに喜び、負ければ「申し訳ない」と謝りながら過ごしてきた21年間

 勝てばお客様とともに喜び、負ければ「申し訳ない」と謝りながら過ごしてきた21年間。強いときも、そうでないときも、このカウンターで見続けてきたスワローズの一番の思い出ってなんでしょうか。単刀直入に聞いてみました。

宮澤さん「14年ぶりにリーグ優勝した2015年の本気のビールかけですかね……瓶ビール120本用意しました」

――え!? ここでやったんですか!!

宮澤さん「大工さんにビニールで養生してもらってお客様とやりました。ほら、まだ跡が残っていますよ」

 宮澤さんが指さした先には、ガムテープの跡が!

養生のガムテープがそのまま店の歴史

 そうか、このガムテープの跡1本でもバックボーンがあれば、それはスワローズの歴史の一部になるんだなぁ……。

老舗にも経営危機が訪れている

 コロナ禍、そしてコロナ後も苦しい経営が続き、それでもお店を続けたいと、知り合いの勧めもあって、7月中旬から目標80万円のクラウドファンディングを始めました。8月7日現在で54%の達成率(8月31日終了予定)。

 辛いときでも宮澤さんはスワローズを応援し続け、時には神宮球場に立ち声を張り上げ、ここではカウンターに立ち、ファンが集まる場所を提供し続けます。一体何が宮澤さんをそこまで突き動かすのでしょうか。

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