50歳を過ぎてから男性更年期障害を発症したヒロミ(57)は、番組収録の際に不安感に襲われ、汗が止まらなかったという。そこには不調があっても言えない、“昭和のオジサン”の生きづらさも見え隠れする。
そんなヒロミに、定年のない芸能界の仕事の引き際、自死してしまう人への思い、妻・松本伊代との老後計画などを聞いた。(全2回の2回目/前編を読む)
もう初老だし、老後はすぐそこにある
――ヒロミさんは現在57歳ですが、老後は意識しますか?
ヒロミ しますね。というか、もう初老ですよ。目は衰えてるし、耳も悪くなってきたし(笑)。だから老後は先の話じゃない。
死ぬのは怖いんだけど、老いるのはそんなに嫌じゃないですね。
――死ぬのはやっぱり怖いですか。
ヒロミ 男性更年期障害は鬱にもなりやすいっていうけど、僕の場合はいわゆる鬱の症状や、死にたいと思ったことはなくて。
むしろ、汗や動悸みたいな症状がワーッて襲ってくると、「死んじゃったらどうしよう」とか「死にたくない」と思うのね。そういう恐怖感、不安みたいなものがありますね。
――死への不安。
ヒロミ 50歳を過ぎるとやっぱり、周りで深刻な病気にかかる人も増えるし、亡くなる人も出てくるんですよ。そうすると、急に死を身近に感じるようになってきて。
今57歳だから、「70歳まであと15年もないんだな」とか、「どんなに長生きしても、あと30年後くらいには死ぬんだな」とか思い始めると、すごく不安になったりしますね。
50を過ぎると「死」が急に現実的に
――これまでは、死を意識することはなかった?
ヒロミ いやぁ、40代までは考えもしなかった。でも50代になるとね。
たとえば、テレビで同い年の人が亡くなるニュースを聞いたりするでしょ。50を過ぎると、それが身近な人じゃなくても、自分が死ぬことと結びつけたりね。もちろん、元気な高齢者だっていっぱいいるんだけど、どこかで「自分も死を意識しなきゃいけない歳かなぁ」とかね。