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突然届いたDM。送り主は阪神期待の若手投手だった…僕が及川雅貴投手のイラストを描いた理由

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/09/05
note

そんな中、及川投手から再び連絡が……

 でも、そんな時に彼からの連絡が再び届く。

「お疲れ様です! プロフィール画像を更新したいなと思い始めてきまして、またりおたさんにお願いしたいです!」

 僕の心配や後悔なんて杞憂だったんだと彼の心意気と律儀さに胸を打たれた。

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 そりゃもうね。大好きな投手なんだもの。最高の一枚を描きたいですよ。

 そう思い、前回描いたイラストを越えられるようにすべく及川投手とやり取りを重ねて

「このフォームの瞬間が良いです!」

「グラブやスパイクはこんな感じです!」

 といった感じで、描く際にとても助かる資料や要望をいただいた。

 そして2023年のイラストテーマは、彼の登場曲となっている横浜高校の大先輩にあたる遊助さん(上地雄輔さん)の楽曲『オセロ』。

 オセロと言えば白と黒。

 阪神タイガースのユニフォームも、白と黒。

 勝ち負けといえば白星と黒星。

 こんなにも『オセロ』がものの見事にシンクロするものなんだなぁと思いつつ、初めて楽曲を聴いた時に鳥肌が立った。

 魂が奮い立ってくる曲とはこのこと。

 この曲が流れて及川投手が登場する甲子園の映像を見た時にとてつもない感情が湧き立った事を覚えている。

 そして楽曲は登場曲限定バージョンで「虎が勝つ」や「及川雅貴で一勝」といった粋な歌詞まである。

 こんなにも全力で最高の形で応援して下さる偉大な先輩がいるのは、どれだけ幸せなことだろう。

 僕自身この曲が大好きだったので迷うことなくこの曲のインスピレーションを元にシャーペンをスケッチブックに、ペンを液晶タブレットに泳がせた。

 忍び寄る黒星を白星にひっくり返し、勝利を手繰り寄せていく彼のピッチングする後ろ姿を描きたかった。

 描くイメージとしては、小顔で長身で手足が長く未来の大投手のオーラ溢れる姿を意識。

 このシルエットを見るだけでワクワクしてくる不思議。それだけロマンが詰まった投手なんだなぁと描き終えた後に改めて実感。

 完成したイラストを納品すると及川投手は大喜びしてくれた。大好きな投手に喜んでもらえるってもうスポーツイラストレーターとしてこれ以上ない幸せだ。

©りおた

 そして今季は怪我も癒えて中継ぎとして9月4日現在、26試合に登板し防御率2.51。好成績を記録し、18年ぶりのアレを目指す首位の阪神タイガースの一端を担う活躍を続けている。

 まさに白星にひっくり返していくオセロのよう。

 話が長くなってしまったので、そろそろ文章の〆を。

 実は、今まで僕は阪神甲子園球場で阪神タイガースの試合を見たことがない。

 西日本の端の山口県に住んでいるからという理由はあるけど、度々関西に遊びに行ったりしているのでもう言い訳は出来ない。

 このコラムの原稿料をいただいたら、及川投手の背番号のユニフォームを買って甲子園に彼の勇姿を見に行ってみたいなぁ。

「及川雅貴で一勝!」の瞬間を見るために。

◆ ◆ ◆

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