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「どうかボーを叩かないでください」SNSで誹謗中傷を受けて考えた、ファンと選手の幸福な関係

文春野球コラム ペナントレース2023

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 チームが弱いとファンの不満は溜まる。それは世の常だ。

 それゆえにライオンズが敗れた日、SNSには「今日負けたのは〇〇のせいだ」「〇〇引退しろ」「〇〇はいらない」といった心ない誹謗中傷の言葉が多く書かれる。贔屓のチームを持つ人なら、少なからず同様の投稿を目にしたことがあるのではないだろうか。

 人は嫌なこと、悔しいことがあった時、誰かのせいにしないと素直に受け入れることが出来ない生物なのだと思う。

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 野球は勝敗がつくスポーツだ。それゆえに勝利すれば、必ずその試合を勝ちに導いたヒーローが存在する。

 逆も然り。試合に負けた日は、この選手がこの場面で打たなかったから……、あの場面であのピッチャーが抑えられなかったから……という敗因が必ず存在する。団体スポーツでは当然のように起こりうることだ。

 だから試合に敗れた日は、必ずといっていいほど叩かれる選手が出てくる。

ボーbotを続ける原動力

 私は普段「ボータカハシ優勝bot」としてSNSで情報発信をしている。

 そのためボーが打たれれば、私に誹謗中傷の声が届くこともある。

 選手個人にスポットを当てたアカウントなのでそれは仕方ないことだと思う。このアカウントを作った際、多少の批判や誹謗中傷を受けるのは覚悟の上だった。

 だが、私が推しているボーに誹謗中傷の声がSNSに投げかけられているのを見るとやはり哀しい気持ちになる。

ボー・タカハシ ©時事通信社

 先日、9月18日のロッテ戦でそうした事態が起こった。この試合でボーは1対1で迎えた12回に登板し、暴投で痛恨の失点をしてしまい、敗戦投手になった。

 試合後、私はX(旧ツイッター)に以下の投稿をした。

「本当に本当にすみませんでした。どうかボーを叩かないでください 叩くなら私でお願いします。」


 この投稿にはさまざまな意見が寄せられた。

「このアカウントはボータカハシの何なのか?」
「本人でもないのに謝る必要はない」

 正直、その通りだと思った。確かに私はボーについて情報発信をしているだけでボーとは何の関わりもなく、一人の西武ファンに過ぎない。そんな奴が、関わりもない投手が打たれて謝罪するのは確かに見当違いだと感じた。

 私が自分自身やボーに対する誹謗中傷に不快感を覚えるのと同様に、私の軽はずみな投稿で嫌な思いをする人がいるかもしれない。そう考えると、私自身もXへの投稿には気を使っていくべきだ。

 しかし、納得のいく意見もあった一方で、「いいね稼ぎ」「一番ボーを侮辱しているのはお前だ」といった受け入れられない声もあった。

 それゆえに、上記のリプライをしてきた人に対して私は少し反論をした。本来なら、あまりこういう声に対して反応すべきではないだろう。

 しかし、ボーが好き、もっとボーのことを知ってほしいと始めたボータカハシ優勝bot。やはり「いいね稼ぎ」と言われるのは少し頭にくるところもあるし、何より私自身が「ボーを侮辱している」という声だけはどうしても理解できなかった。

 それゆえに少し感情的になり、そのリプライに反応してしまった。自分が受けてみて改めて感じたが、誹謗中傷をしてくる人の大概は根拠のない言いがかりがほとんどだと思う。

 初めて誹謗中傷を受けた際は、少し傷ついた。しかし何度か受けるにつれて慣れてきて、そこまで深く捉えたり、考え込んだりすることはなくなった。

 情報発信者や配信者が誹謗中傷を受けるのは避けて通れない道だろう。だからこそ、そういった声は全く気にかけないのが最善だと思う。

 ただし、誹謗中傷をしてくる人はほんの一部にすぎない。ポジティブなメッセージをくれる人が大半だ。「いつも面白い」「本当にすごい」といったポジティブな言葉はボーbotを運営している上で本当に励みになっている。

 ボーbotを応援してくれる人たちが沢山いるからこそ、私は誹謗中傷を浴びせられることがあってもボーbotを続けることが出来ているのだと思う。 

 ボーを心の底から応援している身として、ボーが敗戦投手になるのはやはり哀しい。打たれる姿は見たくない。

 だからこそボーには誰にも文句を言わせない、過去に西武やソフトバンクに在籍したサファテのように圧倒的な投手になって欲しい。私はそう願っている。

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