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息子の不登校を描いた漫画家が激白!「学校からの助けはゼロ。親が動かない限り解決しません」

息子の不登校を描いた漫画家が激白!「学校からの助けはゼロ。親が動かない限り解決しません」

『大原さんちの不登校』大原由軌子インタビュー

2023/09/09
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 全国で24万人にも上る不登校児だが、2学期が始まる9月に発生するケースがいちばん多いという。ネット上で賛否両論を巻き起こした実話マンガ『息子がいじめの加害者に?』に続く「大原さんち」シリーズの最新刊は、まさにその“不登校”がテーマ。

 大原家の次男、レイが中学校に行けなくなった。大量の課題(宿題)に追い詰められ、オンラインゲームに逃避。スクールカウンセリングでは発達障害が疑われ、さらに“体罰”を受けていたことも発覚し……。9月8日発売のコミック『大原さんちの不登校』の読みどころについて、著者の大原由軌子さんにお聞きした。

 

【マンガ】「大原さんちの不登校」第1話から読む

異変に気づいたのは中1の夏休み前

──執筆のきっかけについて教えてください。

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大原 長男のタケがいじめ加害者として訴えられた前作『息子がいじめの加害者に?』のときは、リアルタイムでWEBに連載していたんです。とにかく問題を解決することが目的であり、ゴールだったので。今回のレイの不登校に関しては、彼の行動を私自身が理解することができず、親として辛くて、とてもリアルタイムでは描けなかった。

 その代わり、日記やメモを細かく残していたんです。レイが立ち直った後、あらためて当時の資料を見直して、これは発表したいと思いました。実際に描き始めたのはレイが不登校から復帰した中学3年からで、2年間のWEB連載が終わったときには、高校生になっていました。

 

──レイ君の異変に気づいたのはいつですか?

大原 中学1年の夏休み前ですね。まず、朝起きられなくなったんです。朝食も食べられず、お弁当も残す。目の下が真っ黒で、体のむくみもひどい。毎晩、寝ないでオンラインゲームをやっていたからです。

──そして、クレジットカードの無断使用が発覚します。

大原 夫が1週間入院している時に、カードを取り出して、番号を控えたようです。噂では聞いていましたが、まさか我が家で起きるとは思いもしませんでした。どの種類のカードなら使えるかなど、子供たちの間の情報網は凄いんです。オンラインゲームで勝つためには、課金をしなければならない。いちど覚えてしまうと、歯止めがきかない。結局、レイは10万円も課金していました。

 

──一方で、学校から出される大量の課題にも追い詰められていました。

大原 レイが通っていたのは中高一貫の進学校で課題が多く、辞めてしまう子供も多いとは聞いていたんです。ただ、長男のタケも同じ学校に通っていて、良い先生と巡り合うことができ、学校生活も楽しいことばかりだったので、レイにも進学を勧めたんです。今から考えると、良い面ばかり見ていて、マイナスの部分に目を向けていなかったですね……。

 

     

 自宅での学習時間が決められていて、平日は2時間、土日は4時間。とにかく大量のプリントを処理するのが大変で、終わると親が判子を押す。共働きの親御さんはどうしているんだろうと心配になるくらいの量なんです。レイがプリントを紛失したことがあって、職員室に取りに行くと、先生から「なぜ失くすんだ?」と厳しく問い詰められたそうです。それに答えるのが辛いので、プリントを失くしても、「もういいや」と投げやりになり、ゲームに逃避する。そんな悪循環でした。