全国で24万人にも上る不登校児だが、2学期が始まる9月に発生するケースがいちばん多いという。ネット上で賛否両論を巻き起こした実話マンガ『息子がいじめの加害者に?』に続く「大原さんち」シリーズの最新刊は、まさにその“不登校”がテーマ。
大原家の次男、レイが中学校に行けなくなった。大量の課題(宿題)に追い詰められ、オンラインゲームに逃避。スクールカウンセリングでは発達障害が疑われ、さらに“体罰”を受けていたことも発覚し……。9月8日発売のコミック『大原さんちの不登校』の読みどころについて、著者の大原由軌子さんにお聞きした。
【マンガ】「大原さんちの不登校」第1話から読む
異変に気づいたのは中1の夏休み前
──執筆のきっかけについて教えてください。
大原 長男のタケがいじめ加害者として訴えられた前作『息子がいじめの加害者に?』のときは、リアルタイムでWEBに連載していたんです。とにかく問題を解決することが目的であり、ゴールだったので。今回のレイの不登校に関しては、彼の行動を私自身が理解することができず、親として辛くて、とてもリアルタイムでは描けなかった。
その代わり、日記やメモを細かく残していたんです。レイが立ち直った後、あらためて当時の資料を見直して、これは発表したいと思いました。実際に描き始めたのはレイが不登校から復帰した中学3年からで、2年間のWEB連載が終わったときには、高校生になっていました。
──レイ君の異変に気づいたのはいつですか?
大原 中学1年の夏休み前ですね。まず、朝起きられなくなったんです。朝食も食べられず、お弁当も残す。目の下が真っ黒で、体のむくみもひどい。毎晩、寝ないでオンラインゲームをやっていたからです。
──そして、クレジットカードの無断使用が発覚します。
大原 夫が1週間入院している時に、カードを取り出して、番号を控えたようです。噂では聞いていましたが、まさか我が家で起きるとは思いもしませんでした。どの種類のカードなら使えるかなど、子供たちの間の情報網は凄いんです。オンラインゲームで勝つためには、課金をしなければならない。いちど覚えてしまうと、歯止めがきかない。結局、レイは10万円も課金していました。
──一方で、学校から出される大量の課題にも追い詰められていました。
大原 レイが通っていたのは中高一貫の進学校で課題が多く、辞めてしまう子供も多いとは聞いていたんです。ただ、長男のタケも同じ学校に通っていて、良い先生と巡り合うことができ、学校生活も楽しいことばかりだったので、レイにも進学を勧めたんです。今から考えると、良い面ばかり見ていて、マイナスの部分に目を向けていなかったですね……。