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《楽天・三木谷社長独占手記》「ハーイ、ミッキー」“6兆円ツイッター買収”イーロン・マスクが語った“X改造計画”「日本はユーザー数はいい感じだけど…」

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 だけど、彼の頭の中には全く違う「未来」が見えているはず。そもそもイーロンは、Xをメッセージングだけでなく、SNS、金融、電子商取引……あらゆる機能を兼ね備えたスーパーアプリに進化させようとしている。それこそ、Xとテスラのモビリティを繋げることで、更なるパラダイムシフトを起こそうとしているのかもしれない。今のままでは終わらないと思いますよ。

 時価総額100兆円を突破したテスラ。さらに、世界の宇宙開発を牽引するスペースX。そして、旧ツイッターの買収。マスク氏の何が凄いのか。

イーロンは徹底した“スーパーアマチュア”

 イーロンのビジネスを見ていると、実感することが一つあります。それは、徹底した「スーパーアマチュア」であること。彼の事業のほぼ全てが、素人の視点から「こうすればいいじゃん」と考えた発想で、業界の常識に斬り込んでいます。

 テスラにしても、彼は自動車のスペシャリストではありませんでした。だからこそ、「3000個の電池を繋げれば、とても速い電気自動車が作れる」と突拍子もないことを言い始める。その発想に対し、専門的な視点から「できない理由」を幾つも挙げられたかもしれない。だけど、誰も見たことのない「未来」を作り出すには、「できない理由」を横に置いて、物事の本質だけを見据えるシンプルな見方が欠かせない。

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2014年9月、マスク氏(中央)と

 スペースXも「電気自動車と同じ発想で宇宙船を作ったらいいじゃん」という感覚で宇宙事業にも踏み出した。スーパーアマチュアだから、いきなり「火星に行くぞ」なんて大真面目に言える。着陸実験では2015年に世界初となる衛星打ち上げロケットの垂直着陸を達成しているけど、爆発など数々の失敗を経験しています。それでも全くブレーキを踏もうとしない。「ダメだったね、次に行こう」と新たな試作機を作ってきました。

 しかも、彼は決して品行方正な人物ではない(笑)。日本だと、奇人と評されるかもしれない。プライベート事情や破天荒な言動により、物議を醸したこともあった。時には道を踏み外すような人間だからと言って、排除されないのが、アメリカ社会なんです。

 Xに関しても、これまでの実績を振り返れば、この先、ソーシャルメディアの次元を超えるような大きなインパクトを与えることは間違いないと思う。強引に見える手法への賛否はともかく、一度始めたらとことんまで前進する姿勢。「俺がやれば絶対にこれは金塊になる」といわんばかりの自信。言うなれば、世界一ぶっ飛んだ男。それが、イーロン・マスクです。

イーロン・マスク 上

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ウォルター・アイザックソン ,井口 耕二

文藝春秋

2023年9月13日 発売

イーロン・マスク 下

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