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あの日がなければ…ファイターズファンが秋の夜に振り返る6.24のこと

文春野球コラム クライマックスシリーズ2023

2023/10/21
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 ライバルたちのクライマックスを横目に、長い秋の長い夜を迎えているファイターズファンである。

 部屋の壁のファイターズ・オフィシャルカレンダーは12月だ。しかも、2021年の12月。写真は左から野村佑希、河野竜生、淺間大基、吉田輝星、福田俊。

 なぜ2年前のままかというと、2022年と2023年のカレンダーを買っていないからだ。

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実に選手39人のうち8人が別のユニフォームを着ることに

 2022年のオフィシャルカレンダーが発売される2021年11月、ファイターズは既に栗山英樹監督の退任とBIGBOSS(新庄剛志)監督の就任が決まっていた。

 その年は中田翔が事件を起こして無期限出場停止。直後、巨人へ電撃トレードとなった。さらに11月には、海外FA権を獲得した西川遥輝、国内FA権を得た大田泰示と秋吉亮がノンテンダーで自由契約。その後の契約更改、トレードなど予断を許さない状況の中、毎年オフィシャルカレンダーを制作・販売する道新文化事業社は、2022年版を「ヒストリカルカレンダー」として企画制作した。1月は北海道に移転した2004年と2005年で始まり、2021年まで18シーズンの名場面が12か月に振り分けられた。カレンダーという12か月の未来に18年の過去が。20周年にはまだ足りない。

 なんだかピンと来なくて迷っているうちに買いそびれた。

 本来、カレンダーをめくるのは楽しい。買った時に1月から12月までのデザインを見ていてもその月がやってきて、めくった瞬間、改めて「いいねえ~」と思ったり見とれたりする。そんな楽しみがなくなった1年を過ごし、2023年カレンダーもなんとなく買わなかった。

 かつての球団オフィシャルカレンダーは限られたスターしか起用されず、選手にとって「球団カレンダーに載る」のが喜びであり、ステータスだったという。

 今は、ひと月(1ページ)に掲載される選手数が増えた。FA移籍、ポスティング移籍が当たり前になり、「〇月を飾る中心選手が既にFA移籍」といったリスクを避けた結果だろう。

 去年の11月に発売されたファイターズの「2023年版オフィシャルカレンダー」の画像をネットで拾ってみた。2000年のドラゴンズカレンダーが選手17人だったのに比べて、はるかに多い。カレンダーを飾る頃、すでにチームにいない選手も多くなる。

1月 新庄剛志監督
2月 メネズ、ポンセ、アルカンタラ、ロドリゲス
3月 淺間大基、吉田輝星、万波中正、清宮幸太郎
4月 佐藤龍世、杉浦稔大、谷内亮太、木村文紀
5月 松本剛、上沢直之、近藤健介
6月 石川直也、上原健太、西村天裕
7月 渡邉諒、井口和朋、古川侑利、高濱祐仁
8月 上川畑大悟、野村佑希、伊藤大海、加藤貴之
9月 中島卓也、宮西尚生
10月 鈴木健矢、北山亘基、根本悠楓
11月 宇佐見真吾、郡拓也、清水優心、古川裕大
12月 堀瑞輝、玉井大翔、今川優馬、石井一成

 2月のメネズは6月に退団。4月の佐藤龍世はカレンダー発売前にライオンズへ帰った。

 5月の近藤はFAでホークスへ。6月の西村は春季キャンプを終えた3月6日にマリーンズへトレード。

 チームがまさかの13連敗にあえいでいた7月の渡邉と高濱はカレンダー発売前に阪神へ行き、古川侑利は12月の現役ドラフトでホークスへ。

 11月のキャッチャー4人のうち、開幕スタメンだった宇佐見が6月にドラゴンズへ移籍……と、実に選手39人のうち8人が別のユニフォームを着ることになった。

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