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市川 いずみ
2018/03/30

好きな言葉は「ジカンノムダ」 阪神・メッセンジャーが日本に順応した理由

文春野球コラム ペナントレース2018

 ランディー・メッセンジャーにとって2018シーズンは特別な年。4年連続5回目の開幕投手に指名された虎のエースは順調にいけば4月16日にも国内FA権を取得します。この権利を取得すれば2019年からは1軍外国人枠4人の制約から外れることになり、日本人選手と同等の扱いになるのです。

「日本人扱い? なんだか不思議だね(笑)。でも、野球選手であることに変わりはないしチームに貢献することに変わりはないよ」。メッセンジャーは笑う。

「Bad smell!!!」納豆は苦手だというメッセンジャーですが、2010年に日本に来て早9年目。ラーメン好きはファンの間でも知られていますが、食だけでなく「心」もすっかり日本に馴染んでいます。

 リスペクト精神がすごい。今年から新たに球団スタッフに仲間入りした吉村翼通訳はこのわずか3ヶ月でメッセンジャーの日本野球に対する尊敬の念を感じるといいます。

「1年日本で活躍してすぐに帰国したらいい。そういう考えの外国人選手はダメだとよく口にしています。そういう選手がチーム内にいたら昔は注意したりしていたそうです」

来日9年目のシーズンを迎えたメッセンジャー ©文藝春秋

 2年前。金本監督のもと、若手選手の起用が多くなったときに福留孝介選手も言っていました。「ホームゲームの時の試合前練習は2か所でバッティングをして、それ以外の選手はその打球をとるために外野を守っているだろ? でも投手陣も外野でアップしているから、外野手は定位置よりも前に守ってバッティング練習の打球を捕球しないといけない。若手にとってはただバッティングの捕球をするのではなく、生きた打球を捕る絶好の練習の機会でもあるわけ。だから少しでも定位置に近い場所で若手が守れるように、投手にアップするときに二手に分かれてくれないかと提案したんだよね。そしたらランディーが率先して“もちろんいいよ!”と言ってくれた。若手の守備力が上がればチーム力も上がるという事を理解していて、チームのことを考えてくれているよね」。個人の結果だけでなく、チームのことを考えているあたりも日本野球に馴染んでいるように思えます。

 それはメッセンジャーの好きな日本語からもうかがえます。

“ジカンノムダ”

 山口高志元投手コーチがよく口にしていたフレーズだそうです。投内連携でもそうですが、練習のメニューとメニューの間でも少しでもだらだらしていると「時間つぶしするな~時間の無駄!」と声を出していたといいます。

「投手陣をしっかりさせる、士気を高めるフレーズで好きなんだ」

 メッセンジャーには侍魂が宿っている。