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「おつりが間違っていても自分からは言い出せない」内向型の「静かな人」が、超外向型のアメリカ社会で成功できたワケ

『「静かな人」の戦略書』(ジル・チャン 著)――ベストセラー解剖

2023/11/27
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『「静かな人」の戦略書 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン 著/神崎朗子 訳)ダイヤモンド社

 台湾出身の著者は、コーヒーを買っておつりが間違っていても自分からは言い出せない程の内向型。だが超外向型のアメリカ社会において、メジャーリーグのマーケティング部門や州政府機関などでキャリアを築き、成功を収めてきた。

 本書では、その経験から見出した内向型の秘めた能力と、強みを生かすための戦略を紹介している。内向型のさまざまな長所を可視化したとしてヒット中だ。

 たとえば「静かな人」の能力の1つは傾聴力。だから大勢の人が集まる交流会などの場で、内向型は無理して外向型のように振る舞う必要はない。《それよりも、目の前にいる数人の話にしっかりと耳を傾け、心からの興味と思いやりを示そう》と著者は説く。

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「本書の魅力は『内向型でも大丈夫』といったネガティブな捉え方ではなく、『静かさはクール、むしろ強力な武器になる』と言い切っている点。それを彼女自身のエピソードをベースにとても面白く読ませます」(担当編集者の三浦岳さん)

 著者が来日した際の食事会で、予定していた店の予約が取れていなかったというハプニングがあったそう。

「急遽、移動しながら恐縮するわれわれに、著者は『夜の渋谷をタクシーで走れて、むしろ貴重で楽しい』と。本書にもある、他人の気持ちに配慮できる『静かな人』の能力を目の当たりにしました」(三浦さん)

2022年6月発売。初版1万部。現在11刷18万部(電子含む)
「おつりが間違っていても自分からは言い出せない」内向型の「静かな人」が、超外向型のアメリカ社会で成功できたワケ

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