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〈森友公文書改ざん〉「心は友だちだし、友だちはほっとかない」小泉今日子さんが夫を亡くした赤木雅子さんを応援する理由

『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』刊行記念インタビュー#1

2023/12/13
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 アイドルとしてデビューし41年。“KYON2(キョンキョン)”の愛称で知られ、俳優として歌手として活躍中の小泉今日子さん(57)。その小泉さんが、最近発売されたコミックス(漫画の単行本)に推薦の言葉を寄せた。

「トッちゃんが生きていた時間、マサコちゃんが生きている時間。その尊さを絶対に忘れてはならない人たちは、今どんな時間を過ごしているのだろう。」

 漫画のタイトルは、『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』(小学館)。『週刊ビッグコミックスピリッツ』に去年から連載され、この10月に完結した。6年前に発覚し、時の安倍政権を揺るがせた「森友学園への国有地巨額値引き」という現実の事件が舞台になっている。

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 不当な値引きの経緯を隠蔽しようと財務省が手を染めた「公文書改ざん」。そこに不本意ながら巻き込まれ死に追い込まれていく公務員の「トッちゃん」。彼が遺した告発の文書をもとに真相に迫ろうと動き出す妻の「マサコちゃん」。理不尽な出来事に翻弄されながらも奮闘する姿を描いている。

 小泉さんは、主人公のモデル・赤木雅子さん(52)と、この事件をきっかけに知り合いになった。なぜ雅子さんを応援するのか? 推薦文に込めた思いとは? 現実の近畿財務局職員、赤木俊夫さんが遺した告発の「手記」を『週刊文春』でスクープしたフリー記者の相澤冬樹が話を聞いた。

小泉今日子さん

◇◇◇

漫画だからこそ表現できること

――小泉さんは連載中からずっとこの漫画を読んでいたそうですね。

小泉今日子(以下、小泉) はい。この事件に最初から関心を持っていましたので、「ああ、あの赤木さんのお話だ」と思って、ニュースで知った記憶をなぞりながら読んでいました。事件はすごく重たい話ですけど、漫画っていいですね。

 画力というか、絵に現実の出来事を上回る力があって、物語にすごく入っていきやすかったという印象です。人間ドラマだなという感じがしました。

――漫画のここを読んでほしいとか、オススメのところはありますか?

小泉 やっぱり回想シーンかな。俊夫さん(トッちゃん)が元気な頃の、きれいな景色の中に雅子さん(マサコちゃん)と2人でいるところとか。バスの中で2人が偶然乗り合わせて、山の上から街の景色を眺めるシーンがすごく好きでした。

 

――そのシーンには、「平凡すぎますか? これじゃあ漫画になりませんよね…」というセリフが書かれています。

小泉 そういうユーモアも結構ありますよね。

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