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「これ、どこまでホントなの!?」玉袋筋太郎が驚きまくって涙がポロリ“全身脚本家”橋本忍の怖すぎる真相

「これ、どこまでホントなの!?」玉袋筋太郎が驚きまくって涙がポロリ“全身脚本家”橋本忍の怖すぎる真相

~『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』著者・春日太一との刊行記念対談

2023/12/16
note

天下の村木与四郎が作ったすけべ椅子もあるのか!

玉袋 先生はご遺族の方に信用してもらって、莫大な資料を託されたわけだ。すごいよね。家探しして創作ノートなんかを発掘して、吉村作治みたいなもんだよ。

春日 掘れば掘るほどとんでもない資料がたくさん出てきて……もうとめどなかったですね。『砂の器』の宣伝・戦略ノートにカタカナで『ミ・ン・オ・ン』(民音=創価学会系の音楽文化団体「民主音楽協会」の略称)という4文字を見つけたときの興奮は、ツタンカーメンを発見した気分でした。

玉袋 その後、『砂の器』に創価学会系のシナノ企画が入って来る理由がつながったわけだな。『人間革命』を撮ってみたり……そのあたりの新事実がつながっていくようなところも、詳しく読めばわかるんだけど、興奮するよなぁ。

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春日 なぜ『砂の器』『八甲田山』にシナノ企画が入っているのかは、謎でしたからね。恐ろしくて、本人にも聞けなかった。それが当時のノートに詳細に書かれているわけです。あの興奮は、僕が体験したドキドキをそのまま載っけている感じですね。ですから、いつも本を書くときは材料を濾過して読みやすくするんですが、今回はノートの文言とかそのまま入れていたりします。

玉袋 それが読んでても伝わってくるからおもしれえんだよな。そして『砂の器』『八甲田山』に続く橋本プロダクション作品第3弾、東宝50周年記念作品『幻の湖』ですよ。これ、何度見ても、酔っぱらって見てもピントが合わないわけのわからない作品だけども、これの記述も素晴らしいねえ。

春日 はい。あらすじだけで5ページ使っています。

鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』(春日太一・著)

玉袋 それを読んでもまったく意味がわからないからねぇ。雄琴のソープ嬢役の南條玲子がひたひたと走る姿がね、いいフォームじゃねえかって。俺はマラソンやってたからそう思うけども。

春日 実際に80年10月から82年4月までの1年半、東海大学のグラウンドに南條玲子を通わせて、3大会連続五輪出場の宇佐美彰朗コーチからマンツーマンの指導を受けていたという。

玉袋 この『幻の湖』にもたくさんのXファイルがあるわけだ。女優のオーディションとかの結果とかも残っているんだね。

春日 『砂の器』『八甲田山』と続いていましたから、女優さんもそうした映画だと思って受けに来たんでしょうね。

玉袋 まさか主役が包丁持って延々と走らされるソープ嬢の映画だとは思ってもいないだろうよ。

春日 資料の中には雄琴のソープの設計図なんかもありますよ。「小谷城」って部屋名の通り、時代劇風に作っていたんですけど、これあの黒澤明の美術をやった村木与四郎さんが、このセットを作っている。

玉袋 かぁー、天下の村木与四郎が作ったすけべ椅子もあるのか! すごい話だな。