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「東京地検に連れていかれることはございません」と宣言する議員も…自民党「裏金問題」の潮目が変わった瞬間とは

2024/01/23
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《東京地検特捜部は、収支報告書の訂正内容なども踏まえて安倍派の議員や会計責任者の刑事処分の可否を来週にも判断するもようだ。》(産経新聞)

 いかがだろうか。萩生田氏が支持者に「東京地検に連れていかれることはございません」、「『修正をきちんとする』ということになっております」とうれしそうに報告した意味もわかるではないか。萩生田氏は東京地検特捜部との「手打ち」までにおわせたとゲンダイは書いた。

興味深い時系列

 さらに興味深いのは先週金曜に発売された写真週刊誌『FRIDAY』の記事だ。森喜朗氏に関する記事で「本日も悠々と超高級ホテルで会食へ」という見出しなのだが、この日は「1月12日」の写真だった。安倍派が議員の政治資金収支報告書を訂正する検討を始めたという報道が出た日である。

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 森喜朗氏が検察の方針(政治家の立件はない)を察知していたとしたら「ホテルでのディナーは、さぞ美味だったに違いない」とFRIDAYは書いた。なかなか興味深い時系列である。

 森喜朗氏は現在もなお安倍派の後見人として影響力を持つ。元日の産経新聞は一面トップで『森元首相の関与有無 解明へ 東京地検 安倍派不記載20年超す』と報道した。元日の一面は各紙が力を入れてくる。キックバックからの裏金は森氏が会長だった頃からの「慣例」だったというから、検察は森氏までいくのか? と産経報道は注目されたのだ。しかし森氏に関するおもな報道はそれで終わり、安倍派の5人衆も不起訴となった。

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 もともと裏金報道が出た頃から派閥幹部と会計責任者の共謀を具体的に立証するのは困難と解説されてきた。さらに安倍派幹部らはキックバックについて「派閥会長が決定する案件だった」などとし、不記載への関与を否定していた。ここで言われる「会長」とは細田博之氏、安倍晋三氏だ。2人ともすでに亡くなっている。まさに死人に口なしである。

正義すらこの国は失ったか

 日刊スポーツコラム「政界地獄耳」(1月16日)は今回の結末を皮肉たっぷりに書いた。