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「政治と金の話」なのに、いつのまにか…自民党「裏金」問題で行われた「論点のすり替え」のズルさ

2024/01/30
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 いま新聞では自民党の派閥解散の話で持ちきりです。しかしこれらの記事を熟読している人はどれだけいるのだろう?

 自民党員でもないし関係者でもない人間からすれば派閥があろうがなかろうがどうでもいいからである。そんな人々にとって重要なことは「派閥を解消するほど裏金問題が重要だと言うなら、裏金を何に使っていたのか、どんな効果があったのか、党として説明してほしい」という点だろう。これなら自民党員でない人にとっても重要だし知らなければいけない話だ。

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 もし有権者からは見えない裏金が選挙に使われていたり(総裁選含む)、誰かの地位を上げるために使われていたら、それは民主主義といちばん遠いことをやっていたことになる。ギョッとする。そこを説明せずにいきなり派閥解散だなんて言いたくないことを覆い隠しているだけだ。

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「玄人風」の解説に要注意

 注意したいのは今回のような政治と金の話になると“玄人風”の解説もよく出てくること。曰く「政治には金がかかる」というやつ。そうして話を終わらそうとするが「いや、かかるなら、どれぐらいかかったかも見せてほしい」のである。

 すべて可視化されたらどうなるか。「この政治家はこれぐらいお金がかかるけど活動的だ」と思うかもしれないし、「この人はお金がかからないけど、全然活動してない」と思うかもしれないし、「お金をかけているけど、活動的じゃない」という政治家も見抜けるかもしれない。要は有権者がいろんな判断ができるのだ。見えない金で政治が動いていたら有権者は情報を与えられていないのと同じ。そんなアンフェアな状態が続いていたのかと思う。

 有権者は情報を与えられていないと思った最近の好例をあげよう。