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舌苔は「百害あって一利なし」

「舌苔の堆積は、口腔内の細菌数が増えていることを意味します。これは口臭の原因になるだけでなく、味覚障害や舌炎、歯周病、さらには誤嚥性肺炎や口腔カンジダ症などの病気を引き起こすリスクを高める。特に免疫力の低い高齢者の場合は、命に関わることもあります」

 そう語る簗瀬院長によると、舌苔には舌を保護するとか、外から入ってきた菌やウイルスをやっつけるといった“善玉”としての役割はなく、「百害あって一利なし」だそうだ。

 そうと決まれば除去するしかないが、これもむやみに擦り出すのはNGだ。先に触れた通り、ニョロニョロの中には味を感知する味蕾というセンサーがあるので、これを傷つけると日々の食生活が味気ないものになってしまう。

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「柔らかめの素材のタングクリーナーや舌ブラシ、あるいは毛先の柔らかい歯ブラシで、力をかけ過ぎないように、丁寧に清掃して下さい。この時、舌の表面が乾いていると傷をつけてしまうので、口をゆすいでから行うこと。清掃後に洗口剤で除菌をすると、なお効果的です」

舌の清掃は、口をゆすいでから行うこと ©iStock.com

口の中は全域が粘膜なので、乾燥は大敵

 ちなみに、口の中が乾いていると舌苔も乾燥して口臭はひどくなるし、乾燥が続くと一度の清掃では取り切れなくなる。そもそも口の中は全域が粘膜なので、乾燥は大敵なのだ。睡眠中に口が開いてしまう人は、市販の口を閉じるテープを使うか、せめてマスクでもして寝るほうがよさそうだ。

 薬の服用や加齢などによって唾液の分泌量が低下しても舌苔は堆積しやすくなる。その可能性がある人は、医師や歯科医師の指示に従って対策を講じる必要がある。

 自分の臭いに鈍感な人でも、鏡で舌を見ればある程度のリスク判定は可能だ。必要以上に神経質になることはないが、大事な人と会うときくらいは、鏡に向かって「アッカンベー!」をしてみてはいかがでしょう。