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「ロシア軍では国内の刑務所から囚人を勧誘」ウクライナ軍の訓練を現地取材…スパルタ教官の“危険すぎる行動”

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2024/02/26

genre : ニュース, 国際

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 ウクライナ軍に取材申請を出してはいるが、なかなか希望する取材が出来ずモヤモヤした日が続いていた。現在の前線の動きとしては、ウクライナ軍は去年の反転攻勢で結果が出せず、今はロシア軍の攻撃に押されつつ防戦に回っているという状況だった。東部のウクライナ軍の要衝であるアウディイウカの町はロシア軍に包囲され激戦が繰り広げられており、まず取材の許可なんておりないだろう。他にもバフムト方面、マリインカ方面、クピャンスク方面とロシア軍は攻勢を仕掛けており、状況は日々変わっていった。

手榴弾を装着したドローン。手榴弾はスイッチで投下出来るようになっている

「ウクライナ軍のトレーニングが取材出来るみたいだよ」

 取材の手伝いをお願いしたウクライナ人のアンドリが「軍のトレーニングが取材出来るみたいだよ」と提案してきたのでそれに乗ることにした。トレーニングは新兵の訓練ではなく、すでに実戦を経験している兵士がスキルアップのために重火器の取り扱いや応急処置、戦術的フォーメーションを訓練していた。場所は秘密だ。ここにもやはり報道官がついてまわる。最近は画像や映像が解析されて場所が特定される恐れがあるので致し方ない。「場所がバレるとロシアのイスカンデルミサイルに狙われるから気をつけて撮影してね」とレクチャーを受けた。

 ウクライナ軍の武器は欧米から支援を受けているために各国の兵器が入り混じり、兵器によって取り扱い方が違うため訓練をしないとすぐに使えないのだ。なので兵器の供給が欧米で決定されても実用化までには時間がかかる。去年の反転攻勢でも兵器の支援が間に合えば良い結果になったのではと予測する専門家は多い。

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供給された兵器の訓練をうける兵士

予告なしで「グレネード」を投げるスパルタな教官

 訓練は各チームに分かれて行っているので、あちこちで射撃音や爆発音が鳴り響いている。まずは爆撃用のドローンを訓練しているチームへ行ってみた。市販のドローンからグレネードを投下する訓練だ。ドローンは偵察、監視にも使用できて、音も静かだから気づかれにくい。ウクライナ軍のドローンからの録画映像が私のSNSにはよく流れてくるが、標的になったロシア兵が気の毒になるくらいの死に方をしている。しかしドローンはロシア軍も使用しており、ウクライナ軍にとっても脅威であることに変わりはない。