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「活動はロシア侵攻から次の日に始めた」「遺体の損傷はひどかったらしい」ボランティア男性らが語る“ウクライナ侵攻2年”

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2024/02/24

genre : ニュース, 国際

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 2022年2月24日にロシアがウクライナへ侵攻を開始してから2年。死傷者数は2024年1月時点でウクライナ軍が10万人以上、ロシア軍が30万人以上と言われている。筆者は2022年4月からロシアのウクライナ侵攻を取材。当時は首都キーウを包囲していたロシア軍がキーウ周辺から撤退し始めていた頃だった。ブチャの虐殺を始め、ロシア軍撤退後の惨状は世界に衝撃を与えた。あれからウクライナの今の状況はどうなっているのかを取材した。

 前回の取材時である2022年5月は開戦直後の混乱期だったのか軍のチェックポイントで止められる事はあってもジャーナリストの移動を規制される事はあまりなかった。危険だと警告はされたが、最終的には「行きたきゃどうぞ、死にたいならね」という感じだった。

戦闘で破壊された村。前線に近づけば近づくほど、インフラは機能しなくなってくる

戦争によって困窮する住民への支援

 今回の取材では、ロシア軍の攻撃の被害にあっている街を取材しようと動いた。そこは拠点の街より前線に近づきはしたが、軍の許可さえ取っておけば行けるだろうと、取材の手伝いをお願いしたウクライナ人のアンドリも考えていた地域だった。だがチェックポイントでは兵士に「今日はこの先でロシア軍のドローン攻撃と空爆があったから通せない」と、そこから先の移動を許可されなかった。そして、そのチェックポイントの周りでは兵士たちが新たに塹壕を掘っていた。最近はウクライナ軍がロシア軍の攻勢に押されて防戦になっている、近い内に前線がここまで下がってくることを見越しているのだろう。

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 予定していた取材が出来ないので一旦戻った。取材拠点にしている街、クラマトルスクの教会では戦争によって困窮している住民に支援を行っているという。訪れてみると教会には住民が物資を受け取りに列をなしていた。支援では食料、水、衣類を配っている。また前線近くの街から避難してくる住民を一時的に受け入れるシェルターの設置もしていた。避難してきた住民は頼れる親類や支援団体によって次の行き先が決まるまでシェルターに滞在するシステムだ。

教会で支援物資を受け取る困窮者たち

ボランティアが犠牲になることも

 ウクライナではロシアの侵攻後、防衛戦争に協力するボランティア活動が活発になった。2014年から活動は始まり、侵攻後に活動に参加する人が一気に増えた。そのネットワークとノウハウは2014年から積み上げられたものだという。ウクライナでは外国人もボランティア活動に参加している。支援活動は多岐に渡る。前線の兵士への食事と物資の供給、前線の街に残る住民への食料、医療支援など。中でも危険なのが前線の街からの住民の救出支援だ。