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「活動はロシア侵攻から次の日に始めた」「遺体の損傷はひどかったらしい」ボランティア男性らが語る“ウクライナ侵攻2年”

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2024/02/24

genre : ニュース, 国際

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「遺体の損傷はひどかったらしい」

 前線から住民を救出するボランティアのボグダンさんに話を聞いた。ボグダンさんは24歳でクラマトルスクでフリーでカメラマンやトレーナーをしている。先日も激戦地となっているアウディイウカへ行ってきたそうだ。「活動はロシア侵攻から次の日に始めた。軍に志願したがその時は学生だったために断られました。何か人を助けられる事をしようと思って始めました。これまで500人以上は避難させてきました。アウディイウカは常にロシア軍に砲撃されていて、とても危険だった」と言う。

前線から住民を救出するボランティアのボグダンさん。砲弾が降り注ぐ前線へ何度も向かっている

 ボランティアが犠牲になることもある。アンドリも知り合ったボランティアが亡くなったそうだ。ニュースを検索すると表示された。アンドリに見せると名前も一致した。「その人は何人かの外国人と一緒にバンでバフムトに行こうとしていたそうだよ。でもロシア軍の占領区に近付きすぎてしまって車を対戦車砲で撃たれてしまったそうだ。遺体の損傷はひどかったらしい」と、アンドリは車を運転しながら答えた。

ロシア軍による住民の連れ去りが問題に

 BASE UAという団体の行っている医療支援の活動に同行した。場所はウクライナ軍によって解放された元ロシア軍占領地域の村だ。そこへ向かうのにも軍の許可が必要だ。村はロシア軍とウクライナ軍との戦闘で荒れ果てている。電気も水道も無いという。

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 医療設備を搭載したトラックでは健康診断を行っていた。村に残っている住民は14人くらいだという。残った住民はお年寄りだけだ。健康診断を受けた女性に話を聞くと、「2022年6月ぐらいにロシア軍が来て村に外出禁止令が出された。兵士はブリヤート(ロシアに住むモンゴル系民族)だった。そいつらが村に残っていた人を避難させると言ってどこかに連れて行ってしまった」と言う。連れ去られた人の行方はわかっていないそうだ。

 ロシア軍の住民の連れ去りが問題となっている。特に2万人以上の子どもがウクライナからロシアに連れ去られた。ロシア国内に連れ去られた子どもは家族と引き離され、養子に出されロシアの愛国教育を受けロシア人として育てられる。これに対して国際刑事裁判所は国際法上の戦争犯罪にあたるとして、プーチン大統領やロシア政府関係者に逮捕状を出している。