絵や音楽、PCなどをBASE UAが無料で支援
ウクライナ東部の前線に近い街の子どもたちは学校に通えていない。学校はキーウやリビウなど比較的安全とされる場所では再開されている。クラマトルスクの子どもたちは授業をリモートで受けているが、通学しないと級友との親交が深められなかったり、自分たちの興味や才能を見つけられなかったりする問題も起きる。コロナの期間を経て学校が再開した途端にロシアの侵攻がはじまったのだ。子どもたちが学校に通えていない期間は長い。前述の医療支援したBASE UAはそういった学校に通えない子ども達に無料で絵や音楽、PCなどを習う学童保育のような支援も行っている。
今日は14歳から15歳の女子が4、5人集まっていて絵を描いていた。日本人の私が珍しいようで、色々と話しかけてくれた。一人の女の子が日本語で自己紹介を教えて欲しいというので教えると「私の名前はナディアです」と自己紹介してくれた。
アニメが好きそうなので私が「その名前の主人公のアニメがあるよ。『ふしぎの海のナディア』というアニメ。エヴァンゲリオンの監督が昔作ったやつだよ」と教えると、「エヴァンゲリオン!?」と彼女らの目つきが変わった。エヴァンゲリオンはウクライナでも人気だそうだ。だが、『ふしぎの海のナディア』は知らなかったようで英訳のタイトルを教えると興味深そうに調べていた。
日本のアニメや漫画はウクライナでも人気で、前回の取材の時にボランティアに「『HUNTER×HUNTER』はいつ終わるんだ?」と聞かれて、私も知りたい、と答えておいた。
前線に近い街に残る様々な理由
他にも何人かのボランティア活動を行っている人物に話を聞いたところによると、前線に近い街で残っているのはお年寄りや年配の方が多い。所得が無いので避難後の生活に不安を抱えていたり、自宅で死ぬまで過ごすと考えている人。家族や自身が病気だったりして避難できない人が残っているそうだ。病気の人は避難しても受け入れ先を見つけるのが困難だったりと理由は様々だ。
また、ボランティアの話では親ロシア派の住民は少なからず存在しており、彼らはロシアの支配区域になることを望んでいるという。私は話を聞いただけなのだが、そういう人たちがいるのもあり得るのだろうと推測出来た。
写真=八尋伸