日本の最高学府「東京大学」を卒業した学歴エリートたちの多くは、どんな仕事に就いているのか。卒業生を対象とした調査を見ると、「医師」でも「弁護士」でも「商社」でもない、意外なデータが明らかになった。『「東大卒」の研究 ——データからみる学歴エリート』(本田由紀編著、久保京子、近藤千洋、中野円佳、九鬼成美著、筑摩書房)より、本田由紀氏が執筆した章から一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/前回を読む続きを読む

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日本の最高学府「東京大学」卒業生はどんな仕事に就いているのか ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 就労状態や雇用形態は外形的な変数ですので、もう少し仕事の中身に踏み込んでみましょう。現在働いている者に職種をたずねた結果を見ると、4割と最大のボリュームを占めているのは、「専門職」です。次いで「管理職」が2割、そして「技術職」と「事務職」がそれぞれ1割強で続きます。

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 あくまで今回の調査の回答者の中でではありますが、東京大学とは、実は専門職を大規模に養成している教育機関であることがわかります。入学者のジェネラルな学力の高さのイメージが強い東京大学ですが、そこで学んでから社会に出てゆく人たちの中には、特定の分野の専門人材が大きな比重を占めているのです。

 この専門職の割合を、性別、文系・理系別および学位別に見ると、女性では2人に1人と男性の約4割を上回っており、また文系では3人に1人、理系では2人に1人が専門職です。そして学部卒では2割強、修士では3割強ですが、博士卒では8割以上までを占めます。当然とも言えますが、修士と博士の間の相違が大きく、特に博士学位を取得した場合に、多くが専門職に就いていることになります。