女性が東京大学へ入学できるようになったのは、戦後間もない1946年。それから75年経った2021年の時点で、学部合格者の女性比率は約2割であり、他大学と比べても圧倒的に少ない。

 「東大卒」という特別な肩書きは、女性たちのその後の人生にどんな影響を及ぼすのか。ここでは、東大出身の女性たち10人にインタビューをして彼女たちの本音に迫った『東大女子という生き方』より一部を抜粋。「東大女子お断りサークル」の実態を調査し、卒業論文にまとめた藤田優さん(2020年教育学部卒)のインタビューを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

©iStock.com

◆◆◆

ADVERTISEMENT

新しい世代へ

 論文を書いたのは、藤田優(2020年教育学部卒)。

 初めて会った時、東大卒業から1年になろうとしていた彼女は、こちらをまっすぐ見つめてこう語った。

「男子たちの多くは、積極的に女性を差別しようという意識はないけれども、伝統に従う方が自分に都合がいいから反旗を翻さない。こんな学生たちが官僚や輝かしい職業に就いて、組織の既得権益を守り続けるような社会人になるのかなと思うと、単純に怖いと感じました」

「東大女子も、先入観だけで『そんな出会い系みたいなサークルはこちらからお断り』と言って関わろうとしない人は多かったです。でも、これが例えば人種差別だったら大問題になるはずじゃないですか」

 眼差しと同じようなまっすぐな言葉に、ドキッとさせられた。筆者が学生だった20年前、仮に東大女子だったとしても無関心だっただろうと想像できたからだ。実際、自分の大学にも同じような(あるいはもっと悪質な)サークルはあったのに、冷ややかな目を投げかけるだけだった。

 東大女子のパイオニアである赤松良子は、女性の解放、つまり性差別解消とは、先人からの「長い列」があって徐々に進むものだと語っていた。「不公平をガマンするのは嫌です」と言い切る藤田の姿は、長い列に新しい世代が連なった感がある。