1ページ目から読む
3/4ページ目

男子が「家に入ってほしい」とプロポーズ…

「男尊女卑ルール」という露悪的な名称は、藤田がつけたものではない。運動系インカレサークルの男子が自ら用いた言葉だった。また、藤田が聞き取りをした別のサークル元代表の男子は、「女子大の女子っておバカなわけよ」と臆面もなく語っている。「棲み分け」という表現を使った男子といい、悪気なくこういう言葉が飛び出すことに暗然とさせられる。

©iStock.com

 こうしたあり方が伝統だとする彼らが、東大で旧来型のジェンダー観を強化して社会に出れば、男性優位の社会が保たれることにもつながりかねない。彼らの多くはエリートとして、社会の中枢を担う立場になるからだ。

 しかもそういうOBが時に後輩を見にくることで、伝統が守られてきたというから厄介だ。

ADVERTISEMENT

──社会人となった今となっては、東大男子と付き合うのは怖い、と言っていましたが。

藤田 卒論のインタビューを受けてくれた東大男子たちは、結婚後に女性が働くことについて聞くと、無関心だったり、母親が専業主婦だったから妻もそれが当然だと思っていたりしたので怖くなりました。もちろん、そうじゃない人がいるのもわかるんですけど。

──藤田さんが以前の取材時に仰っていたことで印象に残ったのが、大学時代にずっと付き合っていた東大生カップルが、卒業を前に……。

藤田 男子が「家に入ってほしい」とプロポーズして女子が「ありえない」と振った、という話ですね。2歳下の(取材当時、現役東大生の)弟からの又聞きなんですが、このまま結婚するだろうと周囲に思われていた2人だったと聞いています。

──今どきの東大生たちが「ありえない」と思うからこそ広まったということですよね。

藤田 そうです。弟もそういう言い方だったので。

──そこに希望を感じるというか、男子の意識も変わってきている面があるのかなと。

藤田 そう思います。古い考え方に縛られている男子も女子もいますけど、こういう話が出回って「おかしくない?」と言えるようになってきたのはいいですよね。

──それこそ弟さんも。

藤田 実は、「東大生だけの集団にいたら視野が狭まる」というのは弟の受け売りだったんですよ。弟は中学までは私と同じで、高校で東大進学者が多い私立男子校に入ったんですけど、田舎からエリートばかりの環境に入って感じるところがあったんでしょうね。