サークルの男尊女卑ルール
──藤田さんの卒業論文「東大インカレサークルで何が起こっているのか─『東大女子お断り』が守る格差構造─」は、全国紙で取り上げられ、上野千鶴子名誉教授からも高く評価されましたね。東大の男子と他大の女子だけで構成される「東大女子お断り」のインカレサークルは、運動系サークルに多いとのこと。藤田さんはインカレサークルに所属する17人と学内サークルに所属する9人にインタビューして、インカレテニスサークルを2か月間、参与観察したんですよね。卒論への同級生たちの反応はいかがでしたか。
藤田 ありがたいことに、同じ学科(比較教育社会学コース)の子たちの評判はよかったです。私の学科は女子の方が多くて、16人中11人が女子で、男子は5人で。
──女子が倍以上! 学部生全体で女子が2割弱しかいない東大では珍しいのでは。
藤田 そうなんです。私が卒論のテーマを決めた時から、特に女子は思うところがあったみたいで「絶対に書いてほしい」と応援してくれました。男子も卒論を読んで、「よく頑張ったな」とか「こんな男、本当にいるんだ、ちょっと気持ち悪いな」と好意的に受け止めてくれました。
──「気持ち悪い」というのは、藤田さんが卒論で指摘した、次のようなインカレサークルの男子のことですよね。
〈① 食事作りやお酌、練習後に行く飲食店のドアの開閉に至るまで、ご飯にまつわるものはすべて女子の役割、といった「男尊女卑ルール」がある〉
〈② 東大男子だけが主要な幹部になれる「男子中心運営」になっている〉
〈③ 即席のクイズ合戦で東大男子から他大女子への「バカいじり」をするのが定番、という声が複数のサークルにあった〉
〈④ 東大女子を排除するのは「それが伝統だから」という声が多いが、「東大女子が入ると男子が実権を握りづらくなるから」という声もあった〉
藤田 はい。「こんな男、本当にいるんだ」と言った男子は文化系で、運動系のインカレサークルとは関わりのないタイプでした。一方で、私は学内のバドミントンサークルに所属していたのですが、サークルの男子の大半はこの話題に触れてこなかったです。インカレサークルと掛け持ちしている人もいたので。中には、「(女子が)棲み分けできているんだからいいじゃん」「こんなこと調べて意味あるの?」と言ってきた人もいました。
──その彼は、他の男子があえて口にしなかったことを言ったのかもしれませんね。
藤田 そうだろうと思います。