日本の最高学府「東京大学」を卒業した学歴エリートたちは、どのくらいの月収を稼いでいるのか。卒業生を対象にした調査を見ると「さすがすぎる」実態が明らかになる。『「東大卒」の研究 ——データからみる学歴エリート』(本田由紀編著、久保京子、近藤千洋、中野円佳、九鬼成美著、筑摩書房)より、本田由紀氏が執筆した章から一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/1回目を読む/2回目を読む)
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今回の調査では、働いている人に対して、1カ月あたりの収入(税引前・諸手当込み)を10万円刻みの選択肢でたずねています。
まず単純に回答分布を見ると、月収100万円以上の割合が3割を超えていることは注目されますが、それ以外は幅広く分布しています。各選択肢の幅の中央値を収入の近似値とみなして、まず世代別・性別に平均値を図表3-5に示しました。
最高年齢層でやや月収が低くなるのは、この世代においては正規雇用の割合がそれ以前の世代よりも下がることを反映していると思われます。そして注目されるのは、どの世代でも男性より女性の方が収入が低く、特に壮年期の2つの世代ではその差が大きくなっていることです。
先に見た役職と同様に、同じ東大出身者であったとしても、子育て期にあたる30代・40代において特に、男女間の収入格差が明確に発生していることは、日本社会のジェンダーギャップの根深さを物語っています。