『専業主婦は2億円損をする』は、これまで私が書いたなかでもっとも社会的な反響が大きな本だ。2017年の新書大賞を受賞した『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の部数は電子版と合わせて50万部を超えたが、いまだに1件も著者インタビューを受けたことがない。それに対してこの本は、インターネットを中心に、朝日新聞から『JJ』までさまざまなメディアで取り上げられた。
1000件のコメントのほとんどが専業主婦からの批判
昨年11月の発売直後にYahoo!ニュースに本の紹介が掲載され、半日で34万ページビュー、1000件のコメントがつき、そのほとんどが専業主婦と思しき方からの批判だった。いわゆる炎上だが、お怒りの理由はかなり定型化されていた。ひとつは「女がそんなに稼げるわけがない」、もうひとつは「好きで専業主婦をやってるわけじゃない」だ。
2億円というのは、もちろん私が勝手に決めた数字ではない。厚生労働省所管の調査機関、労働政策研究・研修機構のデータで、大学・大学院を卒業した平均的な女性が正社員として60 歳まで働いたとき生涯賃金は2億1800万円となっている。この金額には退職金は含まれておらず、いまは年金が支給される65歳まで再雇用で働くのがふつうだから、それを加えれば専業主婦になることで失う収入は2億5000万円から3億円ということになる。