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「元通訳のギャンブル問題」新聞各紙はどう報じたか? 大谷翔平に関する「3つのニュース」が提起したこと

2024/03/26
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『ギャンブル依存症から救い出すキモは「話し合い」にあり スタッフ全員が経験者の回復施設 奮闘の現場』(東京新聞2023年12月18日)

 注目は、

《ギャンブル依存症は世界保健機関(WHO)が認定する精神疾患でありながら、「意志が弱い」「モラルの欠如」など自己責任の問題と誤解されがちだ。》

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 という点だろう。

 依存症経験者のコメントとして「依存症は、孤独の病とも言われる。依存症に気付かない、認めない、相談できない。そして人が離れていく。周囲のサポートが必要なのです」とある。この記事ではグループミーティングと呼ばれる回復プログラムを紹介している。抱えている悩みや思いを正直に話し、他者の話にも耳を傾けることで、共感力や自己理解力を深めるという。

水原一平元通訳(左)と話す大谷翔平(左)=3月20日、韓国・ソウル ©時事通信社

 今回の件を受けて日刊スポーツは「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表による解説を掲載していた(3月22日)。

「約束」「肩代わり」は効果なし…どう対応すべきか

 田中氏はギャンブル依存症者に対する手助けとして「借金の尻拭いや肩代わりは間違っている」と強調。「病気を正しく理解しないと言葉を信じてしまう。『もう2度とやらない』などと『約束すること』や『誓うこと』はなんの効果もない」と。その上で、

「ドジャースの関係者の人たちにも水原さんを治療プログラムにつなぐことをやっていただきたい」と述べている。

 これを読むだけで大谷翔平が当初したとされる「肩代わり」や「もうしないという約束」の処置(水原氏は後に否定)は間違いだったことがわかる。ましてや水原氏個人への過剰な報道は精神疾患の人を責めているだけにも思える。多くの人は私を含めギャンブル依存症とは何かを知らないまま無防備にこの話題に触れているのだ。