今シーズンから新天地・ドジャースでの活躍が期待される、メジャーリーガーの大谷翔平(29)。彼の一挙手一投足に、日本だけでなく、世界中のファンが注目をしている。そんな大谷を日本ハム時代から10年以上追い続けているのが、スポーツニッポン新聞社MLB担当の柳原直之記者だ。
ここでは、柳原氏が、番記者としての日々を綴ったノンフィクション『大谷翔平を追いかけて - 番記者10年魂のノート』(ワニブックス)より一部を抜粋。大谷翔平と元日ハムのトレーナー・白水直樹氏との“絆”を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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WBC開幕投手として堂々たる“凱旋登板”
2023年3月8日。東京ドームで行われたWBC開幕前日練習。大谷は中堅フェンスに向かって、ルーティンの「壁当て」を繰り返した。その後、大好きなアニメ『SLAM DUNK』のオープニング曲『君が好きだと叫びたい』が流れる中、ベンチ裏に下がった。
「初戦なのでチームの勢いとしても、初回の入りからしっかり集中して入りたい」
小学2年だった2002年に野球を始め、2006、2009年の連覇はテレビの前で見届けた。初選出された2017年大会は右足首痛で出場を断念し、日本代表も準決勝で敗れた。
「WBCは初めてなので、緊張するとは思うけど、いつも通りの自分らしいプレーをしたい」。憧れでもあり、6年前の悔しさを晴らす舞台でもある。
「フィジカルは今までで一番良い」強化試合で好調ぶりを見せる
強化試合2試合で4打数3安打、2本塁打、6打点と絶好調。投手としては2回1/3を無失点だった2月28日のアスレチックスとのオープン戦から万全の「中7日」で本番を迎え「フィジカルは今までで一番良い。現時点では申し分ない」と言い切った。
「ずっとお世話になった監督と、こういう舞台でできることが特別なこと。一緒に優勝できればこれ以上ない」。日本ハム時代の恩師で二刀流の生みの親でもある栗山監督と挑む初のWBC。さあ、伝説の幕が開く。