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「分かっていますよ!」「できないんですよ!」大谷翔平がブルペンで声を荒げて怒り…“大谷担当記者”が明かす日ハム時代の秘話

『大谷翔平を追いかけて - 番記者10年魂のノート』より #2

2024/03/21
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大観衆をどよめかせた驚きの発言

 ヒーローインタビューではファンと勝利を分かち合い、そしてこう言った。「これだけ夜遅くまで最後まで残っていただいて感謝してます。ただ、まだまだ(声援が)足りないんで、明日もっともっと大きい声援で、よろしくお願いします」

 WBCでの大谷の取材対応は“エンゼルス流”が踏襲され、原則、ヒーローインタビューと登板後の会見のみ。ほかの選手はダルビッシュ有らメジャーリーガーを含めミックスゾーンでの取材が可能だったが、大谷は原則、禁止だった。

 9日の中国戦後はヒーローインタビューに限られ、会見は行われない“例外”も発生。各メディアは二刀流が時間との戦いであることを理解しつつも、どう独自色を持って報じるか悩ましかったのではないだろうか。だが、そんな心配も杞憂に終わるほど、今大会の大谷は饒舌だった。そして、その言葉は多くの人々を動かしていった。

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 この中国戦後のヒーローインタビューで、大谷は「今日の勢いをそのまま試合につなげたいですし、(翌10日の韓国戦の)先発ダルビッシュさんなので、なんとか援護できるように、僕自身頑張りたいなと思います」と発言し、東京ドームの大観衆をどよめかせた。まだ栗山英樹監督が予告先発を発表する前だったからだ。

 うっかり口を滑らせたか、狙った発言だったかは定かではないが、普段から“秘密主義”の大谷らしからぬ姿に驚いた。

©文藝春秋

大谷翔平と元日ハムトレーナー・白水直樹氏の関係

 2004~2010年、2014~2017年に日本ハムでコンディショニング担当を務め、大谷と二人三脚で歩んできた白水直樹氏にとっても感慨深い、大谷の侍ジャパンのユニホーム姿だった。

 前回2017年大会直前の1月。千葉・鎌ケ谷の2軍施設のロッカールームは緊張感に包まれていた。当時、右足首痛に苦しんでいた大谷の出場可否は決まっていなかった。

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