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トップアイドルが異例の結婚報告…決断を後押しした「あるメンバーの一言」《『SMAP×SMAP』放送作家・鈴木おさむが描く》

トップアイドルが異例の結婚報告…決断を後押しした「あるメンバーの一言」《『SMAP×SMAP』放送作家・鈴木おさむが描く》

『もう明日が待っている』#2

2024/03/31

source : ノンフィクション出版

genre : エンタメ, 芸能, 読書

note

 1996年にスタートした「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)に、放送作家として伴走してきた鈴木おさむ氏。「新しい地図」の3人によるネット番組に出演した際に、稲垣吾郎さんが「同じメンバーみたいな感じだった」とふりかえるほどSMAPと長い時間を共に過ごし、深い信頼関係を築いてきた。このたび上梓した新刊『もう明日が待っている』(文藝春秋)では、国民的グループの知られざる物語が描かれている。

 メンバーの脱退、まさかの結婚、誰にも言えなかった苦悩と闘い。トップアイドルとして沢山の夢を与えてきた彼らの全てが、たった一夜の「放送」で壊れていった。ここでは特別に本書を一部抜粋して紹介。2000年、メンバーの一人が結婚を発表。その舞台裏をふりかえる。(全2回の2回目/最初から読む

放送作家・鈴木おさむ氏の新刊『もう明日が待っている』(文藝春秋)

◆◆◆

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 僕が渋谷から1駅のところにある陽当たりのいい部屋に引っ越したのは23歳の時だった。家賃は17万円。とても勇気のいる家賃だったが、この家賃が似合う人になりたいと、背伸びしてその部屋を借りた。

 引っ越してすぐのことだった。ベッドで寝ていると、イイジマサンから電話が来た。それが彼ら5人の番組への誘いの電話で、僕の人生はさらに大きく変わることになった。

 この部屋のベッドで寝ていると、なぜだかおもしろい仕事のオファーが来ることが増えた。ここに引っ越してから、放送作家としての僕は仕事が一気に多くなり、若くして沢山のチャンスをもらった。とにかく原稿を書く分量が多く、テレビ局の打ち合わせから帰ってきても、家で朝方まで仕事をしていることがしょっちゅうで、朝に寝て昼過ぎに仕事の電話で目覚めることが多かった。

イイジマサンからの呼び出し

 その日は東京ドームでの5人のコンサート初日。コンサートの開演1時間くらい前になったら行けばいいやと思って、二度寝していると、イイジマサンからの着信があった。テーブルの上の携帯が、強く揺れているように見えた。

 電話に出ると、イイジマサンの声が少し慌てているように感じた。

「あなた、今、なにしてるの?」

 もしかして? と思って履歴を見ると、着信が何度か残っていた。

「今、家ですけど」

 寝起きの声でそう返す。

「なにしてるの! 早く来なさい」

「だって、今日、本番ちょっと前に行けばいいんですよね?」

「大事なことを今、決めてるの。とにかく早く」

 もう結婚の発表もしたし、大事なことは済んだと思っていたが、まだ残っていた。

 タクヤの結婚は会見の翌日から連日、メディアで大きく報じられていた。

 月曜22時の彼ら5人の番組は、タクヤの会見後の初めての放送のゲストが、名司会者だった。たまたまだ。

 その司会者は自分の番組で、ゲストの本音をうまく聞き出していくことで有名だった。

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