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前監督・真中満氏が語る「今のヤクルトができる理想的な勝ち方」とは?

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/13

 昨年まで、東京ヤクルトスワローズを指揮し、2015年にはリーグ優勝も果たした真中満氏が文春野球に参戦。新人解説者として精力的な取材を続けつつ、四半世紀にわたるヤクルト愛と、関係者しか知り得ない情報を武器に、古巣に愛を込めたエールを送る!

昨年までスワローズを指揮していた真中満氏 ©長谷川晶一

今はただ、じっと我慢で耐える時期

――開幕から1ヵ月が経過して、単独最下位という状況で5月を迎えました。チームの現状をどのように見ていますか?

真中 トータルで考えると、やっぱり投手力が厳しいよね。先発もそうだし、中継ぎも、抑えも、他球団に比べるとちょっと力の差を感じますね。それは去年からの課題でもあったし、今年のキャンプの時点でも不安に感じていたことですけどね……。

――確かに「投手陣に不安」というのは、開幕前から何度も指摘されていましたね。

真中 投手陣の頭数が足りないというのはわかっていたので、この状況を寺島(成輝)、梅野(雄吾)、そして高橋(奎二)とか、「若い投手が台頭してくれば……」と仮定してようやく、他球団と互角に戦えるかなという感じでのスタートでした。でも、現状では誰も出てきていない。あるいはドラフト2位ルーキーの大下(佑馬)や、3位の蔵本(治孝)が即戦力として台頭してほしかったけど、まだ時間がかかりそうだし。そして、抑えを期待していたカラシティーは期待通りの活躍を残せていないし……。いいこと何もないね。マズいな、いいところを探さなければ(笑)。

――投手陣に関して言えば、去年からの上積みは見つからない状況ですか?

真中 上積み……、確かに見つからないね。あえて言えば、由規は去年と比べて確実に復活の手応えは強くなっているよね。それにしても、心配なのは中継ぎ以降だよね。早いイニングで先発投手が降板した後の継投が本当に苦しい。

――クローザーはすでにカラシティー投手から石山泰稚投手へと変わっています。まずはカラシティー投手の印象はどうですか?

真中 開幕前の現有戦力で考えれば、球は速くて落ちるボールもあるということで、カラシティーを抑えにするというのは当然の考えだと思いますよ。でも、結果が残せなかった以上、配置転換はやむを得ないよね。現在、石山がクローザーを任されているのは、彼がいちばん状態がいいからということでしょう。投手陣に関して言えば、正直なところ厳しいのは事実。打開策も見つけづらいですよ。そうなると、打線に頼るしかないから、「攻撃型オーダー」で攻めていくのが最適の方法なんじゃないのかな?

――打線に関しては、昨年と比べればかなりの厚みがありますからね。

真中 攻撃重視で、打線がきちんと点を取って試合の主導権を握る。そして、少しでも投手の負担を減らしながら勝利を拾っていく。それが今のヤクルトにとっての最善策じゃないのかな? ただね、一つ気をつけなければいけないことがあるんですよ。

――どんなことに気をつけねばならないんですか?

真中 「攻撃型オーダー」ということで、守備や走塁に目をつぶった打撃優先のオーダーを組むと、どうしてもエラーが増えたり、走れるケースなのに次の塁が奪えなかったり、小さなミスが積み重なってしまうんです。そうなると、守りからリズムを作ることができなくなる。攻撃型のメリットはあっても、ミスによる失点というデメリットもある。その辺りを絶対に忘れてはいけない。

――打ち勝つ野球を目指すあまりに、守備や走塁をおろそかにするな、と。

真中 そう、その通り。だけど、仕方ないよね。今いる投手陣でこれからのペナントレースを戦っていかなくちゃいけないのが現実なんだから。前半戦は我慢を続けながら若い投手を鍛えていって、彼らの台頭を待つのが現実的な今のヤクルトの戦い方ですね。その間に小川(泰弘)、そして星知弥の復帰を待つ。ここまでいかに我慢できるか? 耐えられるか?