昨年まで、東京ヤクルトスワローズを率いていた真中満氏が文春野球に緊急参戦。四半世紀にわたるヤクルト愛と、関係者しか知り得ない情報を武器に、逆襲を期す古巣に愛を込めたエールを送る!
「内部事情は、かなり詳しいですよ(笑)」
――文春野球って、そもそも知っていましたか?
真中 知っていましたよ。去年も何度か「HITボタン」を押しましたから(笑)。
――おおっ、どうもありがとうございます。改めて文春野球緊急参戦の意気込みを!
真中 今まではユニフォームを着て選手、指導者としてやってきたけど、今年からはグラウンドの外から野球を純粋に楽しむつもりです。その中で改めて野球の楽しさを伝えられればと思っています。
――今年の文春野球にはさまざまな経歴の人がいますが、「NPB監督経験者」は真中さんだけです。この点についてのアピールしていただけますか?
真中 去年までユニフォームを着ていたんでね、内部事情はかなり詳しいですよ(笑)。選手の内面についても理解していますんで、その辺の情報も盛り込んでいきたいですね。話せる範囲で(笑)。
――この企画では、全面的にヤクルトを応援していこうと思っているし、真中さんにも大々的にヤクルト愛を語っていただきたいのですが、公正中立を旨とする野球評論家として、それは問題ないですか?
真中 そうか……。今後、『プロ野球ニュース』にも出演するし、あまりにも偏り過ぎるのはいけないかもしれないよね。でも、やっぱりヤクルトに対する愛着は強いのも事実だしね。他球団をこき下ろしたり、相手のミスを喜んだりすることはしたくないけど、純粋にヤクルトを応援するスタンスは貫くつもりですよ。放送では中立性は意識するけど、文春野球に関してはヤクルトへの愛情を語ります!
――さて、評論家1年目のシーズンが始まりました。ユニフォームを着ていた例年とはどのような心境の変化がありますか?
真中 解説者には解説者なりの緊張感はありますね。でも、一歩引いたところから見るプロ野球もやっぱり楽しいなと感じましたね。開幕戦は横浜スタジアムのDeNA対ヤクルト戦に行ったんだけど、「プロ野球選手ってカッコいいな」と思いましたよ(笑)。そして、「ユニフォームを着られるのはうらやましいな」って思ったな。
――現場復帰の思いが、早くも湧き上がってきましたか?
真中 いや、ないです。全然ないです(笑)。今は解説者として、自分の感じたことをどうやって上手に言葉に変換していくか、上手な会話の間をつかむための意識をしていますね。今は野球ファンに本当の野球を伝える責任を感じています。ユニフォームを着ているのとは別の緊張感がありますね。
今年のヤクルトは、忖度込みで4位と予想
――昨年は96敗という苦しいシーズンでした。今年のヤクルトはどう見ていますか?
真中 やっぱり、青木宣親の加入は大きいですよね。開幕してからは「四番青木」でスタメンを組んでいるけど、これによって、「みんなでつないでいこう」という意識をチーム全体に感じますね。
――青木選手の加入によって、他の選手たちにどんな変化が生まれましたか?
真中 彼のキャラクターって、現役メジャーリーガーにもかかわらず、若い選手とコミュニケーションをとりながら、みんなで和気あいあいできるタイプなんですよ。青木がみんなに気を遣っている感じは伝わってきますね。去年まではどうしてもバレンティンと山田哲人頼みだったけど、ここに青木が加わることで相手チームからのマークもストレスも分散されるので、いい効果を生み出すはず。打線は厚みを増して、どこからでも点を取れるようになりましたよね。
――懸案の投手陣はどうでしょうか?
真中 やっぱり、中継ぎ陣が不安かな? 頭数もそうだし、安定感もそうだし……。秋吉亮、石山泰稚、カラシティ、近藤一樹くらいしか頼れる投手がいないのが心配だけど、試合に使っていきながら調子が上がるのを待つという状況なのかな?
――開幕前の『プロ野球ニュース』特番では、今季のヤクルトを4位予想にしていましたよね。その根拠は何ですか?
真中 投手力は、正直言えば6球団の中でも下の方だと思うんですけど、打線はセ・リーグ有数の打撃陣なので、「打ち勝つ野球」を見せてくれるのではないか、それで4位にしました。プラス、忖度も含めての4位です(笑)。
――真中さんから見て、小川淳司新監督はどのように映っていますか?
真中 常に一歩引いて見守ることを心がけているように思いますね。世間は、宮本慎也ヘッド、石井琢朗打撃コーチ、河田雄祐守備走塁コーチに注目しているけど、あえてそういう状況を作って、うまく操っている印象を受けますね。前回監督を務めていたときと違って、今回はある程度コーチに任せて、大事なときに自分が表に出る。そんな印象です。