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“今さら慌てないよ感”を出す、阪神・ナバーロが気になって仕方ない

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/08

 ど派手なホームランに、150キロ台の剛速球。判定に不服があれば審判に感情をぶつけ、死球を受ければ投手をにらみ、時には乱闘騒ぎにまで発展する。日本の野球ファンが抱く助っ人選手のイメージは、ざっとこんな感じでしょう。とにかく、いろいろ豪快デスよね。

 そんななか、タイガースには“らしくない”助っ人・ナバーロという選手がいます。まだ飛び抜けた実績が無いので全国のファンには馴染み無いかもですが、シュアな打撃が売りの左投げ左打ち野手。一塁と外野も守れます。スタメンで出れば逆方向へ2安打したり、代打でシングルヒットを打ってチャンスを作ったり。と、冒頭のイメージが一般的とすればやっぱり“らしくない”んですが、打率.277(8月7日現在)と、間違いなくチームに必要な選手です。

 なぜか僕、このナバーロが無性に気になります。広い甲子園で30発! とは正直、想像しづらいけど、落ち着き具合が頼もしいというか……。打っても凡退しても表情はほとんど変わらない。もっと言えば、テレビ画面で見ていて「ボールやろぉ」と嘆きたくなるストライク判定にも、グッと堪えて次の球に備えるんですよね。助っ人選手への固定観念があるから余計に、気になっちゃう。

阪神の助っ人野手 ナバーロ(左)とロサリオ(右)

なぜナバーロのことが気になってしまうのか

 そこで、『なぜか』を深掘りしようと、経歴を調べてみました。07年のMLBドラフト50巡目(全体1450位)でエンゼルスに入ったのがプロ野球人生のスタート。いわゆる「エリート組」ではなかったんでしょうね。その後、下積み時代を経て11年シーズンの終盤にメジャー初昇格を勝ち取りましたが、以降は1年間、メジャーでフル回転することはなく、自己最多64試合に出場した14年も、2度のマイナー降格を経験するなど順風満帆とは言えない道のりだったようです。

 その状況を打破できないまま迎えた、32歳になる今シーズン。マイナー48試合で打率.310、4本塁打29打点の成績を残し、6月に阪神タイガースに来てくれました。ロサリオの不調から決まったとみられる補強で、単年契約の推定年俸3300万円です。

 そりゃあね、広くて逆風ビュービューで「左打者泣かせ」の甲子園が本拠地だから、喉から手が出るほど欲しかったか? と言われたら即答できません。でも、いざ打席に立てばコンスタントにヒットを打つし、イチイチ動揺したりしないから、“何かやってくれそう感”が伝わってくる。つまり、頼もしいんですよね。