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ホークスのルーキーとベテランの絆――大竹耕太郎と長谷川勇也の場合

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/14

“若手の台頭”はチームの未来を明るく照らします。一方、“ベテランの奮起”はチームの常勝に必要不可欠です。しかし、対局とも言える要素。その両立は各チームで求められていますが、簡単ではありません。今季は苦しいシーズンを戦っているホークスですが、そんな中でも、“それ”を感じた試合がありました。

 8月1日の西武戦です。私だけではなく、たくさんのホークスファンの皆さんがドキドキしながらプレーボールを待ち、祈るような思いで試合を見つめたのではないでしょうか。その3日前の7月29日に育成から支配下登録されたばかりの大卒ルーキー・大竹耕太郎投手がプロ初登板初先発を果たしたのです!

“残り1枠”を勝ち取った大竹の快挙

 まさに努力の賜物でした。育成入団という悔しさをバネに、「1年目の7月31日の支配下登録の期限までに支配下になれなかったら終わるくらいのつもりで」と強い気持ちでこの舞台を目指してきました。やるべきことを考えて着実に取り組んできた姿勢と、ウエスタンでこの時点で最多の8勝を挙げて、しかも0敗というまぎれもない結果でまさに有言実行し、残り1枠となっていた支配下選手の枠に滑り込んだのです。そして即初先発のチャンスをつかみました。

 初回には猛獅子打線の主砲・山川穂高選手に先制2ランホームランを打たれ、プロの洗礼を浴びました。しかし、その直後です。2回表、長谷川勇也選手の同点2ランホームラン! 踏ん張る大竹投手に最高のプレゼント! 先輩がルーキーの初失点を帳消しにしました。

 すると、大竹投手も先輩の熱い想いに応えます。1軍のマウンドに臆することなく、2軍でやってきたことをそのまま8回まで2失点の快投で魅せました。育成出身選手の初登板初先発で初勝利という史上初の快挙を成し遂げたのです!!

 試合後には初のヒーローインタビューも。持ち味のクレバーなトーク術も披露(笑)。ホークスファンにとっては忘れられない、そして大竹投手にとっては一生の思い出となる、最高のデビュー戦となりました。

8月1日の西武戦で初勝利を挙げた大竹耕太郎 ©時事通信社

「筑後で一番頑張っていた」後輩への想い

 その大竹投手の力投を支え、勝利を手繰り寄せてくれた長谷川選手は、同点2ランから始まり全4打席で4安打5打点の大活躍で初勝利をアシストしました。

「春先から、2軍で一緒に頑張っていた大竹が初先発なので、早めに何とかしてあげたかった」というコメントからは、熱い想いがガンガン伝わってきました。後輩への想い、そして長谷川選手自身、長くなってしまっていた2軍暮らしで感じてきた様々な想い……。

「彼は、本当に僕が見た中で、筑後で一番頑張っていた」

 プロ生活12年目のベテランが入団してわずか半年ちょいのルーキーにそんな想いを抱いてたとは……。更にこう続けました。

「日々の取り組みも意識高いし、僕らも大竹の練習を見てまだまだやらなきゃと感じました」

 こんな思いで大竹投手の初先発を支えたのかと思うと鳥肌が立ちました。心意気だけでもかっこいいのに、本当にその試合で打ちまくるから凄いです。