冒頭から「ありえへん」話の連続だ。明石家さんまさんが初めて企画・プロデュースした話題のNetflixオリジナルドラマ「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」が世界190カ国で独占配信を開始した。幼い頃から何をやってもダメな主人公が、「明石家さんま」という天才と出会い、芸人「ジミー大西」となり、やがて絵画という才能を見いだされ、自分の道を見つけていくさまを描く。

「ジミーちゃん」が憑依したかのような本人っぷりで主役を熱演しているのが中尾明慶さんである。

舞台は80年代の大阪。大西秀明(のちのジミー大西/中尾明慶)は人気絶頂の明石家さんま(玉山鉄二)と出会う ©2018YD クリエイション

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──こうやってお会いすると、ジミーさんとは似ても似つかないですね。

「最初はどうやって役にアプローチして取り組んでいいか、しばらくわからなかったんです。たくさんジミーさんの過去の映像を見たけれど、見れば見るほどマジでわからなくなるというのが率直な感想で(笑)。気をつけていたのは、モノマネにならないように、ということです。

 あくまでひとつのドラマとして観る人に感情移入してもらいたかったから、モノマネしている感じが邪魔になってストーリーに入っていけないということは避けようとずっと思ってました」

明石家さんまが「ジミーがいる気がした」と呟いた舞台

──ドラマの中ではジミーさん本人にしか見えませんでした……。

「さんまさんがたぶん見抜いていたんでしょうね。僕とジミーさんがどこかで重なり合うところを。さんまさんと以前『七人ぐらいの兵士』という舞台で共演させていただいたことがあるんです。僕とさんまさん二人だけのシーンが10分くらいあったのかな。さんまさんがアドリブで僕をいじって遊んでお客さんを笑わせていたんですが、そのシーンの時に、さんまさんがふと『ジミーがいる気がした』とおっしゃっていたそうです。後から人づてに聞きました」

©2018YD クリエイション

──今回のジミー役はさんまさん直々のキャスティングだそうですね。

「『七人ぐらいの兵士』が終わって、次の舞台をやっていたときに、さんまさんが観に来てくれて、みんなでメシに行こうってことになって。そのときにジミーさんのドラマをやろうと思っていると聞きました。『スケジュールあえばやってな~』って言われて『さんまさんがドラマ作るなんてすごい!』と思って『ぜひぜひ! よろしくお願いします!』って言ったんですが、よくよく話を聞いていくと『え、俺ジミーさんなの!? 主役なの?』って(笑)」

 80年代の大阪。人気絶頂のさんまは「なんば花月」で、局部を階段に紐でくくりつけ、裸でうなだれている謎の男(大西秀明・のちのジミー大西)に出会う。舞台進行見習いをしていて大失態をしでかし、「反省せい!」と言われた大西は、反省を態度で示すため、「大事なところ」を紐でくくっていたのだ。