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連載池上彰「WEB 悪魔の辞典」

池上さんが「選挙ポスターと本人が“まるで別人”問題」を考える

池上さんが「選挙ポスターと本人が“まるで別人”問題」を考える

【選挙ポスター】――池上彰「WEB 悪魔の辞典」

2018/11/05
note

 池上彰さんの連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!

【選挙ポスター・せんきょぽすたー】

 勝敗を左右する重要なアイテム。修正しすぎると別人に間違えられる。

【池上さんの解説】

 街頭に政治家の顔写真が掲載されたポスターが目立つようになると、「選挙近し」です。地方選挙や参議院選挙なら任期満了に伴う選挙ですから、事前に投票日が予測でき、大量のポスターが張り巡らされます。

 一方、衆議院の場合は突然の解散というケースが多いので、候補者たちは事前の予測が立ちません。「そろそろ解散・総選挙があるらしい」という風の噂に脅え、“無駄撃ち”となってもポスターを貼ることになります。

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 次の選挙に立候補する人の顔写真つきポスターですから、「事前運動」に見えてしまいますが、建前としては「政治活動」です。政治活動の自由は誰にもありますからね。ポスターを子細に見ると、「○月○日 事務所にて国政報告会」などと記載されています。政治活動の一環として集会を開く告知という形式を取っているのです。

 もちろんポスターを丁寧に読む奇特な人などいませんから、告知日に報告会を開かなくても問題になりません。

 このポスターの顔写真は、自分を売り込むのに重要な武器。著名な写真家に撮影を依頼するケースも多く、実物よりはるかに魅力的に映っていることが多いですね。本人に会って、ポスターの写真との落差に愕然とすることもあります。かえって逆効果ではないかと思うこともあるのですが。

池上彰「WEB悪魔の辞典」のコーナーでは、池上さんの解説を聞いてみたい新用語を募集しています!

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