Q 池上さん、内閣総理大臣に「解散権」があるのは何故でしょうか?

 内閣総理大臣に「解散権」があるのは何故でしょうか? よく「総理の専権事項」と言われますが、総理大臣に解散権があると、与党に有利になりませんか。(20代・男性・会社員)

A 実は解散権があるのは内閣であって、首相にあるわけではありません。

 内閣が閣議決定をして初めて解散になります。内閣を構成する大臣のひとりでも反対すると、解散できないのです。

 ただし、首相には大臣の任免権がありますから、解散に反対する大臣がいればクビにして、自分が大臣を兼務して閣議決定することが可能です。2005年小泉純一郎首相は、郵政民営化法案が参議院で否決されると、衆議院を解散しました。このとき閣内で解散に反対する大臣をクビにして自分が兼務し、閣議決定しました。極端なことを言えば、首相以外の全大臣が反対しても、首相が全員をクビにして兼務し、閣議決定することができます。そこで、首相に解散権がある、という言い方になるのです。

ADVERTISEMENT

©時事通信社

 ご質問の通り、解散権を持つ首相を支える与党は有利です。首相に力を与えるための仕組みなのですから、与党に有利なときを見計らって解散できます。今回などは、その典型でしょう。野党の足並みが乱れ、小池新党の立ち上げが遅れているからチャンスと考えたのでしょう。

 ところが、小池新党の準備は思いのほか進んでいて、野党の統一の動きも活発になりました。ひょっとすると、「いまが解散のチャンス」と考えたことが判断ミスということもありえます。首相や与党に有利であっても、最終的な判断権者は有権者なのですから。

「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム