小学5年生のときに、母親の交際相手から性的虐待を受けた橋本なずなさん(24)。幼い頃に“おぞましい被害”に遭った彼女は、成人後もトラウマやフラッシュバックに苦しめられ、2度の自殺未遂を経験しているという。

 現在は「性犯罪が少なくなる社会」を目指して自身の過去を赤裸々に発信し、性的虐待の実態を伝えている。橋本さんはどんな環境下で被害に遭い、どのように“心の傷”と向き合ってきたのか。話を聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)

小学5年生のときに性的虐待を受けた橋本なずなさん ©山元茂樹/文藝春秋

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コタツの中で無理やり足を広げられ…小学5年生で性的虐待を受ける

――小学5年生のとき、コタツの中で母親の交際相手から性的虐待を受けたそうですね。

橋本なずなさん(以下、橋本) 母がシャワーに入って、おじさん(母親の交際相手)と2人きりになったときでした。コタツに入ってテレビを見ていたら、向かい側に座っていた彼が、コタツの中で私の足を開こうとしてきたんです。

 最初は「私の足が邪魔なのかな」と思ったんですけど、いきなり足首をつかまれて、無理やり足を開こうとしてきて。反射的に足を閉じようとしたら、ガバッと足を広げられて、おじさんが足指を私の陰部に押し込んできたんです。

 自分が何をされているのか、その行為の意味まではわからなかったのですが、とにかく不快で。「これはいつ終わるの?」「お母さん早く戻ってきて」と思いました。

――声を出すこともできず。

橋本 性被害に遭うときは、本当に言葉も出ないし、行動を起こすこともできない。恐怖で細胞までギュッと縮んでしまって、意識も感覚も身体の内側に閉じこもるような感じになってしまうんです。

 だから、おじさんの行為が終わるまで「やめて」と言うこともできませんでした。年齢に関係なく、性被害に遭うとそうなってしまうものだと思います。

 

母の目を盗んで性的虐待を繰り返す“おじさん”

――母親が戻ってきたら、行為は終わった?

橋本 終わりました。でも、お母さんには何があったのか言えなかったですね。彼女を傷つけるかもしれないと思って。それに自分がそういう行為をされたと認めたくなかったし、誰にも知られたくなかった。

――その後、母親の交際相手は。

橋本 どんどん行為がエスカレートしていきました。私は嫌だったんですけど、お母さんと一緒におじさんの家に行くことが増えて。そこで、母の目を盗んで私に性的虐待を繰り返すんです。たとえば、母がコンビニへ買い出しに行っているときに、私の胸を触ってきたり、自分の性器を見せつけてきたり。