小学5年生のときに、母親の交際相手から性的虐待を受けた橋本なずなさん(24)。幼い頃に“おぞましい被害”に遭った彼女は、成人後もトラウマやフラッシュバックに苦しめられ、2度の自殺未遂を経験しているという。
現在は「性犯罪が少なくなる社会」を目指して自身の過去を赤裸々に発信し、性的虐待の実態を伝えている。橋本さんはどんな環境下で被害に遭い、どのように“心の傷”と向き合ってきたのか。話を聞いた。(全3回の1回目/2回目に続く)
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今でもフラッシュバックするほど辛い過去
――橋本さんは、小学5年生のときに母親の交際相手から性的虐待を受けたことを公表されています。
橋本なずなさん(以下、橋本) 小学5年生のときに、約1年間、母親のパートナーから性的虐待を受けていました。今も性的虐待や性加害に関するニュースを見聞きすると、フラッシュバックすることがあります。
――それでも今回のように、メディアで発信を続けていますよね。
橋本 正直、当時を思い出すのは本当に辛いけど、性犯罪が少なくなる社会を作るためにはやるしかない、という気持ちです。
日本には、皆さんが想像しているよりたくさんの性被害者がいるんです。でも、それを言えない人が多い。「実は私も経験しているけど、いまだに誰にも話したことがない」という人がほとんどだと思います。
そういう人たちも、性犯罪がなくなる社会や、性犯罪の刑罰が重くなる社会を望んでいると思うし、これからを生きる子どもたちのためにも、私は今回のような取材で性的虐待や性被害の実態を伝えたい。それが私にできることだと思うので。
――ご自身のお身体が第一なので、ご無理のない範囲でお話しください。
橋本 ありがとうございます。
幼い頃は大阪で裕福な生活をしていた
――性的虐待を受ける前は、どのような生活を送っていたのですか。
橋本 父と母、1歳上の兄、私の4人家族で、生まれてからずっと大阪で暮らしています。
私が生まれた翌年に、父が北新地でバーの経営を始めて。最初は繫盛していたので、幼少期は経済的に豊かな生活をしていました。