――どんな部分で経済的な豊かさを感じましたか?
橋本 幼い頃からおしゃれなレストランに連れていってもらったり、高価なバッグやブランド物を買い与えられたりしていました。ただ当時から、父は物質的な愛情表現に頼っているな、と感じていて。
――物は与えられるけど、親子のコミュニケーションは少なかった?
橋本 私や兄が小学校から帰ってくる時間には、父はお店に行って準備していますし、父が朝帰って来る頃に私たちは登校するので、いつも入れ違いでした。
土日や祝日は家にいるのですが、前日にお客さんと飲んで、二日酔いでずっと寝ていることも多かった。だから、酔っ払っていない状態の父とコミュニケーションを取る時間は少なかったです。
「父の暴力が止まらなくて…」両親が離婚した“きっかけ”
――その後、ご両親は離婚したそうですね。
橋本 私が小学3年生の頃だったと思います。
――なぜ離婚してしまったのでしょうか。
橋本 父のDVがきっかけです。ある日、父がいつもより早く帰ってきたことがあったんです。母が玄関に迎えに行って、私と兄はリビングでテレビを見ながら待ってたんですけど、父も母もリビングに来る気配がなくて。
そしたら突然、父の怒鳴り声が聞こえて、何事かと思って兄と見に行ったら、母が父に殴られてうずくまっていました。何が起こっているのかわからなかったけど、母が怯えているのは確かだったので、兄と私で母の上に覆いかぶさって守ろうとして。でも父の暴力は止まらなくて、私たちも一緒に殴られました。
暴力を振るわれたショックで、記憶があいまいに
――父親はそれ以前にも暴力を振るうことはあった?
橋本 いや、父に殴られてる母を見たのは初めてだったし、父がそういうことをする人だと思っていなかったので、本当にびっくりしました。
ただ、もともと酒グセが悪い人ではあったんです。お酒を飲んでるときに横柄な態度になったり、声が大きくなったり。私たちが殴られた日も酔っていて、そういう酒グセの悪さが暴力に結びついたんだと思います。