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ネットで全文を無料公開 プレゼン資料のハウツー本が売れた理由

『やってはいけないデザイン』(平本久美子 著)――ベストセラー解剖

2018/12/03
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『やってはいけないデザイン』(平本久美子 著)

 文書作成ソフトで資料を作っていると、つい余計な手間をかけがちだ。タイトルを波打たせたり、文字をカラフルに装飾してみたり……結果、凝ったつもりが冴えないデザインに。そんな失敗を避けるハウツーをまとめた本が、面白い売れ方をしている。

「プロ以外にも、プレゼン資料やチラシ、ポスターの作成といった、デザインの必要がある作業をする機会のある方は大勢います。著者はそうした方々を対象にしたセミナーを開催していて、その経験から本書は生まれたんです」(担当編集者の本田麻湖さん)

 掲載された作例は、セミナーの参加者が実際に作ったもの。だから修正前と後の例を見比べると、改善点がわかりやすい。ひとめで分かる説得力が、SNS時代に上手く合ったようだ。

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「刊行直後の動きが割とよく、その後も堅実に売れ続けていたのですが、出版から1年近く経った昨年の10月末、突然ネット書店での売れ方が大きく加速したんです。調べてみると、Twitterで読者の方が内容の一部を紹介してくださったことがきっかけでした。ネット書店で勢いがつくと、リアル書店でもふたたび大きく扱われるようになり、数字が伸びました。さらに今年、ネットで全文を期間限定無料公開したところ、ここでも売上が150%までアップしたんです」(本田さん)

 ネットで盛り上がるたび、新たな読者が生まれる。まだまだ先もありそうだ。

2016年12月発売。初版6500部。現在9刷5万部

やってはいけないデザイン

平本 久美子(著)

翔泳社
2016年12月17日 発売

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