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戦後最大の「国語」改革で「文学」が消滅する

2019年の論点100

2018/12/27
『文藝春秋オピニオン2019年の論点100』掲載

 論より証拠。まずは次の問題を見てもらおう。

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 転勤の多い会社に勤めているサユリさんは、通勤用に自動車を所有しており、自宅近くに駐車場を借りている。以下は、その駐車場の管理会社である原パークとサユリさんが締結した契約書の一部である。これを読んで、あとの問い(問1〜3)に答えよ。

 駐車場使用契約書

 貸主 原パーク(以下、「甲」という。)と 借主 ○○サユリ(以下、「乙」という。)は、次のとおり駐車場の使用契約を締結する。

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 そして以下、「第1条 合意内容」から「第8条 返還義務」まで現物さながらの契約書が提示される。サユリさんはこの契約書をもとに、どうやって貸主からの料金値上げ要求に対抗すればいいか、あるいはどうやって損をしないように解約手続きをすればいいかを答えるのだ。

 これが、センター試験に代わり、2021年に導入される「大学入学共通テスト」の試作品の冒頭部である。

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これが大学のどの学問分野に繋がるのか

 他にも、交通事故に関するグラフ、自治体の広報資料や部活動に関する生徒会規約を読むものなど、これまでなかった「テクスト」が問題文となっている。どれもすぐに生活に役立つ内容だろうが、これが大学入試の国語の問題になるのだ。

 はたしてこの内容が大学のどの学問分野に繋がるのだろうか。経済学や経営学というにはあまりにレベルが低すぎる。駐車場の契約でぼったくられないようにするのは大学に行かない人間にとっても重要だし、生徒会の規約はそもそも高校時代に読めていなければ意味がない。