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小論文はとにかく「イエス・ノー」に落とし込め――“小論文のカリスマ”が教える必勝法

東進ハイスクール・樋口裕一先生が教える合格する『論点』の活用法――2019年の論点100

2018/12/15

 小論文とは読んで字の如く、小さな、論じる、文章です。では、論じるとは何か。広辞苑をひくと、「物事の是非をただす」とあります。是非をただすとはどういうことか。それは、イエス・ノーをはっきりさせることです。

 ですから、小論文とは何かといえば、どのような問題でも結局、イエス・ノーを書く文章である、とまとめることができます。

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 たとえば、「ボランティアについてあなたの考えを書きなさい」という問題。これが作文なら、自分のボランティア体験を元に、楽しかったとか、有意義だったといったことを書いてもいいでしょう。また、説明文なら、ボランティアの発祥であるとか、日本での広がりなどについて、順をおって書いていけば点数をもらえると思います。

『文藝春秋オピニオン2019年の論点100』掲載

とにかくイエス・ノーに落とし込め

 しかし、小論文の場合、それをイエス・ノーの形に落とし込んで論じなくてはいけません。「ボランティアについて」という部分を、「最近、ボランティアに報酬を与えるべきか否かが盛んに論じられているが……」とか、「ボランティアを学校で単位として認めるべきか否かについて、新聞などで様々な議論があるが……」といったふうに、問題を自分で設定して、イエス・ノーを論じる。これが小論文なのです。

 最近の小論文では、「提案型」の問題が多く出題されます。「××について対策を示せ」といった形の問題です。こういった提案型の場合は、イエス・ノーで論じられないのではないか、といった意見もあります。しかし、この場合でも、答案の中で、自分の提案した対策が正しいか、正しくないかを検証してゆくわけですから、イエス・ノーの形に落とし込むことは可能です。

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「東日本大震災で発生したような大規模な津波による被害を防ぐ対策について書け」と出題され、あなたは、「スーパー堤防を造る」と提案するとします。これは、「スーパー堤防を造るべきか否か」という問題設定をすることに他なりません。そこでは、あまりにも費用がかかりすぎる、などといった反対意見も考慮しながら、それでも造るべきだとする根拠を示すことで、論旨をイエスに導いていくことになります。

 結局、イエス・ノーにならない問題というのは、いわゆる要約問題と説明問題、もしくは作文、エッセイくらいで、基本的に小論文と呼ばれているものの99パーセントはイエス・ノーの形に落とし込んで検証することで、合格点の取れる小論文となります。

 実際に出題される大学入試小論文問題のほとんどが、課題文を読ませ、それについて答えさせるものです。この場合も、課題文のほとんどは何らかの現象について説明しているものですから、基本的にはその説明についてあなたが正しいと考えるのか、そうではないのかを論じればよいことになります。

 最近出題された例で、課題として「子育ては社会化すべきだ」という趣旨の文章が出され、それについて意見を書かせるものがありました。この場合も、課題文が「社会化すべき」と言っているわけですから、それに対してイエスかノーかを考えればよいわけです。