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小論文は「情報」ではなく「意見」である――“小論文のカリスマ”が教える必勝法

東進ハイスクール・樋口裕一先生が教える合格する『論点』の活用法――2019年の論点100

2019/02/07
『文藝春秋オピニオン2019年の論点100』掲載

1から続きます

 先ほど述べたように、「4部構成」の(3)「イエス・ノーの根拠を示す」の部分の学習に、『論点』はもっとも適したテキストです。

小論文は時事問題ではない

 まず確認しておきたいのは、小論文は時事問題ではないということです。ここを誤解している人がたくさんいます。ですから、新聞の一面を読め、それを要約しろ、といった指導をする人がいますが、あまり意味がありません。なぜ時事問題が出ないのか。ひとつは、時事問題は3カ月もすると状況が変化してしまうので、出題側としてはおそろしくて出せないからです。2018年の11月の時点で、トランプ米大統領の訪朝についての問題を作ったとして、19年の1月になると再訪朝があるかもしれません。少なくとも1年間は状況が変化しない事柄について書かせるのが無難なのです。

 ですから、新聞なら一面ではなく、コラムや国際面の解説といったところが、小論文の学習には適していることになりますし、『論点』はまさに今年と来年、少なくとも2年にわたって続いているテーマが整理され、コンパクトにまとめられているので、小論文の学習にもっとも適しているのです。

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小論文は「情報」ではなく「意見」

 次に重要なのは、小論文とは「情報」を書くものではなく、「意見」を書くものだということです。

 勉強ができる生徒は、固有名詞や年号を覚えようと必死になりますが、小論文で必要なのは、そうした情報ではなく、どう考えるのかという意見なのです。ある問題について、こんな意見がある、その根拠はこれである、というのを大まかでいいから押さえておく。だれがどうしたとか、何年のことかとか、法律の名前とか、そういうことは覚えなくてもいいのです。

 すでに述べたように、「意見」というのは、そのものずばりの問題でなくても、転用して使うことができます。そういった意味で、この『論点』は、いろんな人の意見がいちばん上手にまとまっています。これを読むとだいたいの知識が身に付くうえ、ときどき偏ったものもありますが、それはそれで反対意見でも使えますから、ある意味、そのまま使える便利なアイテムなのです。