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小論文は「情報」ではなく「意見」である――“小論文のカリスマ”が教える必勝法

東進ハイスクール・樋口裕一先生が教える合格する『論点』の活用法――2019年の論点100

2019/02/07
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ある意見に出会ったら必ず反対意見を考える

 では、実際に『論点』を使った学習法を紹介しましょう。

 まず、『論点』は全部読む。よほど関心のないことは除いて全部読むことで、今の日本の動きがだいたい全部わかる。他にも似たような書籍はありますが、分厚すぎて読みきれないものが多い。その点、『論点』は300ページくらいですし、ひとつひとつが見開き(2ページ)しかないので、簡単に読めます。

 次に、ある意見を読んだとき、必ず、反対意見を考える。「子育てを社会化すべきである」という意見を読んだら、社会化すべきではない、という意見とその根拠を探しておく。

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 そして、少しむずかしいですが、自分の身の周りで同じようなことが起きているかどうか考えてみる。たとえば、「AI時代の企業に必要な条件は××だ」という意見があったら、自分の身の周りで、AIによってなくなってしまう職業は何だろうか、もっと具体的に、AI時代になったら、うちの親父は生き残れるだろうか、といったことを考える。これが、知識を自分のものにするという作業なのです。

ネタを10個用意する

 それができたら、記事の中で自分が気に入ったフレーズをそのまま書き写して、フレーズ集のようなものを作っておくことをお勧めします。「AI時代には知識を溜め込むより、思考力を鍛えたほうがよい」とか、「温暖化で自然災害が急増するため、公共事業はハコモノをやめてインフラ整備へと転換すべきだ」といったふうに、10個くらい、得意なネタを作っておく。少子高齢化、グローバル化、ジェンダー問題、AIやビッグデータなどは、ネタとして持っておけば、必ずどこかで使えます。

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 小論文は将棋と似ていて、自分の得意な形、定石に持ち込んでしまえば、それほど苦労しなくても勝てる。むしろ、小論文では、自分の得意な分野の問題が出ることはほとんどないと考えたほうがいいのです。ですから合否は、出題されたテーマをいかにして自分が培ってきた知識、得意分野と結びつけて論じることができるかにかかっています。出題するほうも、そこを見ているのです。

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