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連載尾木のママで

イメージ一変 いま「本物の教育」が行われているのは農業高校だ 

尾木のママで

2018/12/05
イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 今夏、甲子園で準優勝に輝いた秋田の金足農業高校。全選手が地元出身、甲子園では珍しい公立の「農業高校」ということで注目を集めたわね。

 実はいま、農業高校はかつて世間が抱いていたイメージとは別世界。まさに、これからの時代に求められる、「生き抜く力」を育む「本物の教育」が行われているの。

 ボク、昨年度から始まった毎日新聞社・JA全中主催「全国高校生農業アクション大賞」の審査員をしているの。「農や食に関するプロジェクトや課題研究」の三カ年を単位にした取り組みを対象に支援する試み。今年も全国六十校から応募があった。

 例えば、熊本県立八代農業高校・泉分校のグループは、特産ユズの廃棄分の有効活用と、地域資源であるヤマメ養殖の厳しい経営状況の打開という課題に、生徒が着想。地元のユズ農家とヤマメ養殖場に学びながら、ユズをヤマメの餌にして生臭さを抑えた「フルーツ魚」を育てようとしている。愛知県立佐屋高校のグループは、従来の「合鴨農法」「アヒル農法」をステップアップさせ、「コールダック」という小さなアヒルと金魚を使った新しい安全な農法に挑戦。どの高校の実践も若者ならではの独創的発想が光る。地域の生産者や企業と共同開発、販売まで目指すとは、現実的。何よりも生徒たちが楽しく主体的に挑戦している!

 農業で、なぜ人が育つのか。それは、命を育てるために、試作や実践をくり返し、探究的に学ぶから。成果を形で実感でき、達成感も得られる。さらに、育てた家畜などの生産物を「商品」として市場に出すことで、命の大切さを知ることにもつながるのね。

 「農業で学ぶ」ことで、課題解決力を育み、思考力・想像力・生活力を豊かにする。進路選択を迫られる思春期後半にこそ、養いたい力ね。普通高校でもぜひ、農業の授業を取り入れてほしいわ。