文春オンライン

連載テレビ健康診断

朝7時の目が覚める衝撃番組、Eテレ『シャキーン!』は何がすごいのか?

『シャキーン!』(Eテレ)――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

note

 公共放送のNHK、それも教育テレビであるEテレが実はもっともアヴァンギャルドである。それは、テレビ好きにとってはもはや常識と言っても過言ではなく、殊更強調する必要もないだろう。

©iStock.com

 平日の朝7時から15分間放送されている幼児向け教養バラエティー番組『シャキーン!』はそれを体現する番組のひとつ。先日も、それぞれが奏でる楽器の音による振動で紙相撲対決をする「サウンドファイターズ」のコーナーに、ZAZEN BOYSの向井秀徳と人間椅子の鈴木研一という、民放でもなかなかお目にかかれない2人の対決が放送され、一部の音楽ファンらをざわつかせた。番組のメインキャラクターはジュモクさん(声:片桐仁)とネコッパチ(声:やついいちろう)。彼らに加え、現在は、めいちゃん(高橋萌衣)とモモエ(松田杏咲)という10代の少女たちがメインキャスト。寝起きの子供たち(や僕ら)の頭と体を「シャキーン!」と目覚めさせるような五感をフルに使う能動的なコーナーと、メインキャストたちによる、ある程度フリーに任されたトークが魅力だ。

 そんな中で11月1日の放送は普段以上に自由な内容だった。いつものオープニングテーマが流れ、番組が始まると「今日のシャキーンはサイコロを転がして出たテーマに沿ってお送りします!」とめいちゃんが宣言。8面体のサイコロを振り、出た目に従いコーナーを行うという。

ADVERTISEMENT

 さっそくサイコロを振ると、最初に出た目はなんと「エンディング」。すぐに「サイコロに運命を託した今日の『シャキーン!』、楽しんでくれたかな?」とエンディングが始まってしまったのだ。「今日も一日、シャッキーン! いってらっしゃーい!」といつもの締め。時刻はまだ7時1分。そして「エンディングはやっちゃったけど、まだまだ続きますよ〜」という訳のわからない言葉とともに番組は続く。次に出た目はまさかの「オープニング」。その瞬間、再びオープニングテーマが流れ出し、「今日のシャキーンはサイコロを転がして……」と同じ説明をし始めるというカオスな展開。その後、ようやく「転がり祭り」や「フリートーク」などの目が出るが、結局、番組中3回も「エンディング」があるというぶっ飛んだ構成に。番組はこうでなければならないというような凝り固まった考えはそこにはない。子供のように頭の柔らかい番組に目を覚まされた。

『シャキーン!』
Eテレ 平日 7:00〜7:15
http://www.nhk.or.jp/kids/program/shakiin.html

朝7時の目が覚める衝撃番組、Eテレ『シャキーン!』は何がすごいのか?

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー