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偏差値は何のためにある? 中学受験で悔いを残さない「正しい偏差値活用法」

感情論に陥らない戦略的併願校選び

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●偏差値を利用した併願戦略ステップ(2) どこかには合格できる確率を計算する

「第1志望」をA中学としよう。「第2志望」の候補として、B中学、C中学、D中学、E中学、F中学の5校があるとする。模試の結果から、また、わが子の偏差値を偏差値表に照らし合わせた結果から、それぞれの合格可能性が、A中学→20%、B中学→30%、C中学→50%、D中学→50%、E中学→80%、F中学→80%だったとする。

 A中学に不合格になる確率は80%、B中学に不合格になる確率は70%、C中学に不合格になる確率は50%。ということは、3校すべてに不合格になる確率は、0.8×0.7×0.5=0.28。28%の確率で全滅を食らう計算だ。つまり約7割の確率でどこかには受かる。

 A中学からF中学まで6校ぜんぶを受けた場合の全滅の確率は、0.8×0.7×0.5×0.5×0.2×0.2=0.0056で、1%を切る。つまり99%以上の確率でどこかには受かる。

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 入試日程と偏差値表を見比べながら、さまざまな併願パターンを考え、そのたびにこの計算をくり返す。それが併願戦略立案の基本である。偏差値は、そのためにある。

 
 

「“すべりどめ”だけ」でなく「第2志望」を散らばらせる

 どこかには受かる可能性を、80%で十分とするのか、90%でよしとするのか、限りなく100%に近づけておくのかについては、各家庭で冷静に決めてほしい。

 全滅を防ぐためのバランスをとる帳尻あわせとして、併願校のなかに合格可能性の高い学校を意図的に交ぜる場合、それを「すべりどめ」と呼ぶ。

「すべりどめ」があれば、確率的に全滅を回避することはできるが、だからといって「すべりどめ」以外をすべて強気に攻めることには慎重になったほうがいい。「すべりどめ」とその他の併願校の間にあまりにも大きな偏差値の差があると、万が一「すべりどめ」しか合格できなかったときのショックはやはり大きい。「一か八か」ではなく、バランス良く、各偏差値帯に「第2志望」を散らばらせるほうが、納得できる結果を得られやすいはずだ。