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『元女子高生、パパになる』『ぼくは青くて透明で』――合言葉はHAPPY PRIDE! ジェンダーや性の多様性を考えるためのブックガイド PART1

『元女子高生、パパになる』『ぼくは青くて透明で』――合言葉はHAPPY PRIDE! ジェンダーや性の多様性を考えるためのブックガイド PART1

「本の話」ブックガイド

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2 『僕が夫に出会うまで』七崎良輔(文春e-book) 
『僕が夫に出会うまで コミック版』七崎良輔原作・つきづきよし漫画

『僕が夫に出会うまで』七崎良輔(文春e-book)/『僕が夫に出会うまで コミック版』七崎良輔原作・つきづきよし漫画

 もう一冊、ノンフィクションを。

 幼い頃から「普通の男の子じゃない」と言われ、自らの性のあり方に悩み苦しんでいた七崎良輔さん。いじめや中学での初めての恋、高校で好きになった彼の恋人への抑えきれない嫉妬など、どう向き合っていいかわからない思いを抱えながら上京し、友人へのカミングアウトを経て、自らを受け入れていきます。

 そして、パートナーとの出会い。婚姻届けの不受理、結婚式ーー。

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 涙あり笑いあり感動あり、壁にぶつかっても前向きに行動するひとりのゲイの青年の、リアルな青春自伝エッセイです。漫画家つきづきよしさんによるコミカライズ版も評判となりました。世界各国で翻訳出版されている話題作です。

3 『彼岸花が咲く島』李琴峰

『彼岸花が咲く島』

 小説作品、まず一冊目は、第165回芥川賞を受賞した、李琴峰さんの『彼岸花が咲く島』です。

 記憶を失った少女が島に流れ着き、発見者の少女に助けられながら島で暮らし始めます。そこはノロと呼ばれる女性たちが治め、島民すべてが使用する言葉のほかに、女性だけが使用する言語を持つ島でした。主人公とともに島のしきたりを体験することで、現代の社会のありよう、性、仕事、言語などを俯瞰して見ているような感覚をも味わえます。

 不思議な別世界を描いたファンタジーとしても楽しめる作品ですが、島の歴史を紐解くうちに、実は自分がよく知る土地を描いているかのようにも思えてくる、深いあじわいの中編小説です。

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